頑張っている、と素直に評価すべきか、それとも・・・

民主党が「緊急雇用対策」と銘打っていくつかの法案を参院にまとめて提出した、というニュースが最近の紙面を飾っている。


まだ議院のHPには法案の条文そのものがアップされていないようで、民主党のサイトから法案の骨子を眺めることくらいしかできないのだが(http://www.dpj.or.jp/news/?num=14724)、ざっと見た限りでは、なるほど、と思えるものとそうでないものが混在しているように思える。

(1)採用内定取消しを規制 〜採用内定取消規制法案 (基本は公布日施行)
(2)非正規労働者雇用調整助成金の対象に〜派遣労働者等解雇防止特別措置法案 (公布2週間後施行)
(3)派遣労働者等の就労支援のための住まいと生活の支援 〜住まいと仕事の確保法案(公布1ヵ月後施行)
(4)雇用保険制度の拡充によりセーフティネットと雇用を確保 〜雇用保険法改正案(09年4月施行)
 ※(3)と(4)はひとつの法案として提出を予定
(5)有期労働契約の締結、更新、終了のルールを明らかに 〜有期労働契約遵守法案(公布後1年を超えないうちに施行)

上に挙げられている5つの項目のうち、「緊急対策」に馴染みやすいのは助成金の拡充だとか、雇用保険等の給付の充実をうたった(2)〜(4)のあたりだろう。


財源に限りはあるといえども、今が「みぞうゆう」の危機である、という前提に立つなら、ちょっとやそっとの出血はやむを得ないわけで*1、一定の給付を行うことによって社会不安が少しでも沈静化に向かうのであれば、細かいことでゴチャゴチャ言うのはナンセンス、ということになろう。


だが、雇用契約ルールに抜本的に手を加える、となると、ちょっと話は変わってくる。


屋上屋の改正でぐちゃぐちゃになって非常に評判の悪かった旧商法の例を挙げるまでもなく、「緊急」対策でルールをいじろうとするとどこかでツケが回ってくるわけで、「騒がれている事象への対症療法」としては効果的なものに見えても、長い目で見れば結局は労働者側の不利益につながった、ということになったのでは、身も蓋もない。



最近の「右に倣え」的な雇用“切り”に対しては、筆者自身も思うところがあって、特に、冷静に見れば余力がないとは到底いえないような大企業までがそれに手を出しているのは、実に恥ずべきことだと思うのであるが、そういった思いとは別に、ルールを変えることが「救済」に値することなのかどうか、という点については、もう少し冷静に議論する必要があるのではないか、と思っているところである。



個人的には、法案の成否をめぐる政治的な駆引きの行方よりも、まずは、民主党側がどういった内容で法案化したのか、ということの方を知りたかったりもするのであるが・・・。

*1:それは海の向こうの国の豪快な各種救済策を見ても分かる。

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