案の定逆転有罪。

インターネットのホームページにラーメンチェーン店を中傷する文章を掲載したことが、名誉毀損罪にあたるかどうかが問題となった刑事事件の控訴審で、東京高裁(長岡哲次裁判長)が、地裁判決を破棄、罰金30万円の有罪判決を言い渡している*1


以前、地裁の判決が出た際のエントリーでも指摘したとおり*2、あたかも

「ネット上の個人による情報発信に限って名誉毀損の基準を緩和した(かのような)」

地裁の判断にはおおいに疑義があったところで、この点に関してはひっくり返っても決して不思議ではなかったといえるだろう。


また、

「ネット上の情報をすべて把握し、反論することは不可能。再反論によって名誉毀損エスカレートすることも予想される」

といった判示は、インターネットの特性を端的に言い表したものといえるし、

「ネット上の情報を見た人は『幾分かの真実が含まれている』と考えるのが通常。名誉毀損の危険性はマスコミなど従来のメディアと異ならない。」

という評価は、(若干過大評価の感があるとしても)ネット上の情報発信者にとってはむしろ誇るべきだといえる。


上記のような判示から、「マスメディアと同じ基準で名誉毀損罪の成否を判断する」という結論を直ちに導くのはやや短絡的な議論だと思われ、「一般人たる個人」という立場で情報を発信する行為については、もう少し異なる配慮があっても良いのではないか、と思うのも事実であるが*3

「高裁判決に従えば、問題企業の告発サイトはほとんど刑事罰で規制されてしまう。」

という弁護人のコメントが大げさに過ぎるように感じられることもあって*4、筆者自身は被告人側にあまり共感できない。




先のエントリーでも取り上げたように、結局は「高裁判決までの命」となってしまった地裁判決。


弁護人側も、労を惜しむことなく上告するようなので、もしかすると最高裁段階で異なる判断が下される可能性もあるのだが、その結果如何にかかわらず、“危うきには近寄らない(=根拠があやふやな状態で迂闊に記事等を書かない)”というのが、賢明なネットユーザーの取るべき道であるように思う。


そして、それを「萎縮効果」と見るか、それとも「成熟の証」と見るかは人それぞれで、何かとイメージの悪い「インターネット」に対する見方を変える手段として、これを前向きに捉えることにも十分な合理性はある、と自分は思っているところである。


果たして、本ブログの読者の皆様がどのような感想をお持ちなのか、ちょっと気になるところではあるが・・・

*1:日本経済新聞2009年1月31日付朝刊・第34面。

*2:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080302/1204502652

*3:この点については前回のエントリーを参照されたい。

*4:勝手な思い込みで特定企業を罵倒するような“告発”をするから問題になるのであって、客観的な資料を元に冷静に批判を展開する限りにおいては、刑事罰の規制対象になるとは考えにくい。