運命の皮肉。

昨年暮れに内定取消で話題となったマンション分譲大手の日本綜合地所*1


今週前半には、学生と労働組合に対して補償金を支払うことで最終的に解決した、というニュースが流れたばかりだったのだが・・・

「マンション分譲大手の日本綜合地所は5日、東京地裁に会社更生手続き開始を申し立て、受理されたと発表した。子会社2社を含めた負債総額は約2142億円。今年に入って最大の倒産で、2008年度でみると不動産業では昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション(負債総額2558億円)に次ぐ大型倒産となった。」
日本経済新聞2009年2月6日付朝刊・第9面)

確かに、普通の企業に比べれば、借入金比率が極めて高い会社だっただけに、「昨年来の金融危機と住宅不況で資金繰りに窮した」という説明にも納得せざるを得ないのだが、このタイミングで会社更生手続を始めなくても・・・という思いは残る*2


昨年10月頃にはかなり苦しい状況に陥っていたようだから、今思うと「内定取消」も学生に早めの進路変更を促す優しさゆえ、ということだったのだろうし、そんな中、当初予定していた額を引き上げてまで補償金をきちんと支払ったのも、会社としての精一杯の誠意、ということだったのだろう。


そう考えると、いたたまれない気分になる。


実際に内定者に支払われた補償金が元で会社が潰れた、というわけではなさそうだし*3、あのタイミングで内定を取り消されて、怒りに燃えて戦った内定者たちには何の罪もない。


だが・・・


運命というのは何とも皮肉なものだ、といわざるを得ない。



そして、どんな会社でもいつかは終わりが訪れる、というのが世の定めで*4、この変化の早い時代では、昨日まで栄華を誇っていた企業が瞬く間に崩れ去ることも決して珍しくはないのだが、そんな儚さを「社会人」としてデビューする前から味合わされた元・内定者の方々にはどうしても同情せざるを得ないのである。

*1:関連するエントリーとして、http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20081209/1228866722など参照。

*2:筆者自身の認識も随分と甘かったようで(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20081129/1228017165の注3参照)、反省すべきところは大きい。

*3:第2四半期末の時点で短期間のうちに返済する必要のあった負債は900億円を超えていたから、少なくとも億単位のキャッシュがないと危機を脱するのは困難だったのではないかと思う。

*4:倒産して名実ともに消滅するのか、それとも会社合併等で形を変えて存続するか、といったような違いはあるにしても。

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