「一票の格差」訴訟に新風?

日経の法務面で、珍しく、「一票の格差」問題という純粋憲法ネタが取り上げられているのだが、そこに登場されるのは、この種の話題にしてはもっと珍しい、あの升永英俊弁護士だ。

−とはいえ、最高裁の判断が覆るだろうか。
「簡単な方法がある。衆議院選挙時に行われる最高裁判事の国民審査で、国民が一票の格差の是正に消極的な裁判官に不信任の印をつけることだ。通常、不信任は多くても10%程度にとどまるが、各裁判官の考え方が国民にほとんど知らされていないことが大きな原因だ。不信任が増えれば裁判官の考え方に影響を与えるだろう」
日本経済新聞2009年5月25日付朝刊・第16面)

月曜日の別のコラム*1の記事と間違えたのか・・・と思うようなコメントであるが、どっこい升永弁護士は、

「私は次回の衆院選後に久保利英明、田中克郎の両弁護士らと共にこの問題について違憲訴訟を起こす。ホームページ上に私の違憲の主張と選挙管理委員会の合憲の主張をすべて公開する」

とまで宣言しているから、相当本気なのだろう。


ただ、同じコラムの中で長谷部恭男・東大教授が、

「一般論だが、(一票の格差のような)一つの論点を巡り『首を切ってやろう』というキャンペーンを張るのは好ましくないと思う。」

とやんわり指摘しているように、問題解決のために「国民審査」を用いようとする発想はお世辞にも品があるとは言い難いし、仮にそのようなやり方が“あり”だとしても、代わって任命される裁判官が罷免された裁判官と異なる意見を有していることまで期待すべきではないから、このやり方の実効性は薄いと言わざるを得ないように思われる。


個人的には、「国民審査の活用」といった飛び道具的発想はほどほどにしていただいて、訴訟形式だとか、主張の法律構成といったところで、従来の議論の限界を克服するような新発想を打ち出していただけるよう期待したいところなのであるが、どうなるか。


いずれにしても、次の選挙に向けてまた一つ話題が増えたのは間違いないところである。

*1:「領空侵犯」とか何とか・・・(笑)。