検索キーワード広告と商標権侵害

一時は、グーグルあたりを巻き込んで、米国や欧州で華やかに展開されていた検索キーワード広告の商標権侵害問題が、ついに日本企業にも波及した・・・と思ったら上海の話。

コクヨの上海現地法人アスクルの上海現地法人に商標権を侵害されたとして提訴していたことを巡り、アスクル側が賠償金を支払うことなどで和解したことが27日、明らかになった。日本のライバル企業同士が訴訟にまで発展するケースは極めて珍しい」(日本経済新聞2009年7月28日付朝刊・第12面)

珍しいのは確かだが、目の付けどころが違うだろう!*1と突っ込みたくなるのはご愛敬。


問題になったアスクル側のやり口というのは、

「今年の一時期、コクヨの商標である「イージーバイ(中国語で易優百)」をウェブ上で検索すると、「アスクルはイージーバイより安い」という中国語の広告が出るようになっていたという。」

というもののよう。


結論としては、あくまで「裁判所による勧告」を受け入れての和解、ということだし、仮に判決を出すということになった場合に、中国の商標法に基づいてどのような判断が下されたのか、というのは結局分からないままなのだが、検索キーワード広告紛争の嵐が日本に上陸する日が近いことを予感される事例であるのは間違いない。


ちなみに、直観的感覚だと、日本でこの問題を論じるとすれば、商標権侵害の話というよりは、不競法違反の話になってくるのかなぁ・・・と思ったりもする*2


この両者、日本でも当然激しいバトルを展開している事業者同士だけに、上海の仇を江戸で・・・なんてことにちょっと期待するのも良いかもしれない。

*1:別に日本企業の外国子会社同士が現地の裁判所で争うのは、最近では決して珍しい話ではなくなってきているし・・・。

*2:たぶん「○○より安い」という文脈で他社の商標を使ったとしても、○○の部分に露骨にロゴそのものを使うなどしない限り、商標的使用にあたらない、とされてしまうケースの方が多いような気がする。

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