あまりにお粗末な対応、あまりにお粗末な結末。

約1年半ほど前、本ブログでも取り上げたことのある日教組・教研集会開催拒否問題*1
は、結局民事訴訟に発展し、28日に東京地裁で判決が出された。

「会場の使用契約を一方的に解除され、教育研究全国集会(教研集会)の全体集会を開催できなかったとして、日本教職員組合日教組)らがプリンスホテルなどに対し、約2億9000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は28日、ホテル側に請求全額の支払いと全国紙への謝罪広告の掲載を命じた。ホテル側は控訴する方針」(日本経済新聞2009年7月29日付朝刊・第39面)

裁判所の仮処分決定まで出されていたにもかかわらず、それを無視して開催拒否の態度を貫き、最終的に教研集会の全体集会を中止に追い込んだプリンスホテル


もしこれが、宮崎かどこかの代議士のように*2、独自の思想・信条に基づいてとった対応なのであれば、それはそれで誉めてあげるべきことなのかもしれない*3


だが、企業の取るべき合理的行動とは何か?という視点からみれば、プリンスホテルの上記のような行為は明らかに「失格」なのであって、結局東京地裁も、使用拒否に基づく損害賠償全額+プリンス側の“言い訳”を名誉棄損として認定したうえでの損害賠償全額を認容することになってしまった。


民事訴訟の、しかもお金の絡む訴訟であれば、相手方がトンズラして訴訟に出てこないか、あるいは最初から白旗を挙げて事実上請求認諾に近いような形で処理することにでもしない限り、「請求全額認容」などというぶっ飛んだ判決は期待しにくいものだが、それがあっさりと通ってしまったところに(しかも金額が約3億円と大変大きくなっているにもかかわらず)、プリンスのしでかしたことの大きさとそれにより裁判所の心証がいかに害されていたか、ということがうかがえるところである。


あえて筆者が指摘するまでもないとは思うが、今回の集会拒否が、通常の会社が“絶対やってはいけない”対応の典型事例である、ということは、念のためここに記しておくことにしたい。




なお、相変わらず記事の中には「集会の自由」を前面に出したコメントが目立っている。


確かに本件判決でも、不法行為責任を認める際に、「集会に参加する利益は法律上保護されるべきだ」と述べて、結論を導いているのであるが、だからといって、本件が憲法問題を全面に出して争うべき事例か、といえばそんなことはないような気がしていて、個人的には、集会だろうが何だろうが、旅館側の一方的な思惑で、いったん受けた予約をキャンセルするなんてけしからん、という点に尽きるのではないかと思っているのだが・・・。


まぁ、まだ地裁だし、被告側も控訴するらしいので、今後の展開には引き続き注視しておく必要があるように思う。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20080203/1202011341

*2:いまだに選挙に出るか出ないかですったもんだしているらしいが・・・。

*3:ライト側のスタンドからはこれはこれで喝采が上がるような行為なのかもしれない。

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