法律書業界に新風?

日経の日曜面の片隅にこんな記事が載っていた。

「6月に活動を始めたばかりの羽鳥書店(東京・文京)という小さな出版社が出版業界で注目を集めている。東京大学出版会で大学教科書としては異例の,39刷46万部というベストセラーになった小林康夫船曳建夫編『知の技法』を手がけた羽鳥和芳氏が,定年退職して起こした会社だからだ。沈滞気味の人文・教養書の世界に,ヒットメーカーが新風をもたらしそうだ」(日本経済新聞2009年8月23日付朝刊・第21面)

このコラムの中で紹介されているのはもっぱら『知の技法』の方だが、法学徒にとってなじみ深いのは、こちらの方だろう。

「本シリーズの生みの親ともいえる東京大学出版会の羽鳥和芳氏は,本書の改訂に際しても私のよき相談相手であった。また,編集部の斉藤美潮さんは,骨の折れる改訂作業を最大限の周密さでやり遂げてくださると同時に,本書の教科書としての改善にも貴重な貢献をしてくださった。教科書は,モノグラフィーなどと違い,著者ひとりの力で達成できることは限られている。本書の意図を深く理解し,その実現への熱意を共有してくれる,優れたセンスの編集者に恵まれたことを感謝したい。」(内田貴民法1[第2版]』はしがきより)*1

それまでの無味乾燥な法律書の世界に革命をもたらしたあのシリーズが世に出てからもう15年近くになるのだろうか。


羽鳥氏の出版社が世に送り出そうとしている書籍のジャンルは,必ずしも法律書に限られたものではないようだが,“多色刷り”や“ビジュアル化”が決して珍しくなくなった今だからこそ,法学書分野のさらなるブレイクスルーのため,クオリティの高い作品を世に送り出されることを願ってやまない。


憲法の境界

憲法の境界

*1:本当は初版のはしがきを引用できれば良かったのだが,手元になかったので・・・。

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