懲役15年は厳罰か?

他の話題で盛り上がり過ぎているせいもあるが、3件目になってようやく落ち着きを見せつつある裁判員裁判報道。


今回は初の地方開催、かつ被害者保護を何よりも重視しなければならない類型の事件、ということもあって若干不安もあったのだが、無事審理を終え、判決までこぎつけたようである。

「性犯罪を初めて審理した全国3件目の裁判員裁判の判決が4日、青森地裁であった。小川賢司裁判長は「極めて身勝手な動機で女性の人格を無視した卑劣な犯行」として、2件の強盗強姦罪などに問われた無職、田嶋靖広被告(22)に求刑通り懲役15年を言い渡した。弁護側は「懲役5年が相当」と主張していた。」(日本経済新聞2009年9月5日付朝刊・第38面)

“求刑通り“と聞くと重すぎるようにも思えてしまうが、元々強盗強姦罪は無期刑まである犯罪類型だし、有期刑でも最高懲役30年まである類型であることを考えると、「15年」でもまだ軽い、と考えるのが通常の市民感覚なのではないだろうか。


もちろん、弁護人としては、情状面でそれ相応の酌量事由があると判断した上で「懲役5年相当」という主張をしたのだろうが、報道されているような事情(本人の反省の情や生い立ち等)だけでは、被害者が2名もいる事案の重さを中和させることは難しかったように思われる*1


これから先、注目されることがあるとすれば、1件目の殺人罪での求刑16年→判決懲役15年や、本件を受けて、検察官の側で従来の“求刑相場”を引き上げるのかどうか、ということ。


控訴審における量刑不当の主張をにらんで、従来通りの相場を維持するのか、それとも率直な市民感情に配慮して、事案ごとに柔軟に求刑を変えてくるのか・・・?


元々量刑判断が検察官求刑に縛られる義理はないだけに、4件目以降では、求刑を超えた量刑判断がなされる可能性にも注目しながら見ていく、というのも悪くないかもしれない。

*1:それなら「10年を超えない程度の・・・」くらいの表現にとどめておいた方がまだ裁判員の心証は良くなったのではなかろうか。

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