永田町、霞が関界隈も、メディアも、ここのところ連日、新内閣発足のニュースで盛り上がっていたようだが*1、ようやく、昨夜になって「鳩山由紀夫内閣発足」と相成った。
衆院選前後の“政権交代”のお祭り騒ぎには、正直言って辟易していたし、今回の新内閣発足にもほとんど期待はしていなかったのだが、蓋を開けてみると、この顔ぶれなら案外いいんじゃないの?というのが素直な感想である。
総理、副総理、外相といった頭の方はともかく(笑)、あちこちに気配りした割には、藤井裕久財務相だったり、原口一博総務相だったり、前原誠司国土交通相だったり、と一応論客が揃っているし*2、押しつけで入閣させざるを得ない人でもとりあえず役に立ちそうなところで起用しよう、というコンセプトも見えている*3。
小沢一郎の剛腕ばかりが強調される新政権だが、今回の組閣に関しては、官邸サイドも案外したたかだったんじゃないかな、という印象はある。
移り気な世論の風向きは徐々に変わり始めていて、朝のニュースなんかでは、今回の組閣リストを街角の人に見せて、
「こんな人知らない」
とか
「斬新さがない」「面白みがない」
みたいなことを言わせて喜んでいたりもするのだが、国政は遊びじゃないんだから・・・(苦笑)。
政策の当否や個々の閣僚の政策・信条の当否はともかく、そうでなくてもドタバタする時期なのだから、ここは政界を長く生き抜いてきた玄人の寄せ集めで乗り切ろう、という感覚は間違っていないだろうと思う。
ちなみに、日経紙の一面には
「脱官僚政治」を実行
という大見出しが堂々と掲げられているし、官僚受難時代(霞が関総風越信吾時代)を予感させるような風説もあちこちで流布されているが、“官僚バッシング”の嵐が吹き荒れたここ数年の状況との比較でいえば、官僚、特に若手官僚には、むしろ仕事がやりやすくなる状況が来るような気がする。
結局、どんなに偉大な政治家でも、有能な吏僚を手元に置かなければ、個別の政策の中身や実行への道筋を具体的に詰めていくことはできないのだから、政権を担当する以上は役人とある程度仲良くしなければならないし、そうなると表面的には声を荒げて非難しても、水面下では手を握らないといけなくなる状況も生まれてくる。
一方、野党に回った自民党の実力派政治家が、急に態度を豹変して“官僚バッシング”を始められるとも思えないわけで、そうなると露骨に官僚批判ができるのは「みんなの党」くらいしか残らない。
落ち着くまではいろいろと大変だろうけど、若手にとっては余計な雑音を気にしなくて良くなった分、帰っていい環境になったんじゃないかな・・・というのが外野の印象である。
ひと時の平和が、いつまで持つかは分からないにしても・・・。