7日付のエントリーで“ブラウン管カルテル”の話題を取り上げたばかりなのだが、立て続けに国際カルテル絡みのニュースがまた一つ。
「欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、東芝、日立製作所、富士電機ホールディングスと欧州企業が変圧器の販売でカルテルを結んでいたとして、計6764万ユーロ(約88億円)の制裁金を命じた。日本企業と欧州企業が互いの市場への参入を控え、競争を妨げたことがEU競争法(独占禁止法)違反にあたると認定した。」(日本経済新聞2009年10月8日付朝刊・第9面)
記事によれば、カルテルに参加していたのは、日本企業3社のほか、スイスのABB、仏アルストム、仏アレバ、独シーメンスの計7社、ということで、欧州委員会のクルス委員は、「欧州の消費者と納税者はこのカルテルに苦しんできた」と批判したそうであるが・・・
これを受けて出された東芝のプレスリリース(http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20091008.htm)が凄い。
あまりにカッコイイので「2.対応方針」の項を全文引用させていただくと、
2. 対応方針
当社は、欧州委員会の調査に協力して参りましたが、当社の調査では欧州競争法に違反する行為を行っておらず、欧州裁判所において今回の決定を争っていく方針です。決定書を正式に受領後、その内容を検討の上適切に対応していきます。
(強調筆者)
ということである。
正直、ここに出ている情報だけでは、どこが争いどころなのかイマイチ分からないところはあるのだが、とにもかくにも「違反行為を行っていない」と断言するのはかなり勇気のある意見表明で、泣く子も黙る欧州委員会に真正面から勝負を挑むこの“サムライスピリッツ”には、率直に敬意を表したいと思う。
7社のうち、シーメンスが制裁金免除*1。日本企業のうち、日立、富士電機の2社も「調査に協力したため」制裁金をそれぞれ18%、40%減免されている、という状況の下で、制裁金全体の5分の1にあたる1320万ユーロを課されている東芝。
日の丸を背負ってどこまで頑張れるのか。
今後の欧州での“サムライ・トウシバ”の反撃に注目してみたいと思うところである。
*1:おそらくリーニエンシールールに類するルールが適用されたのであろう。