帰ってきたミスター

政権交代以降、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなっているのだが、さすがに昼のニュースで日本郵政の新社長の名前を聞いた時は驚いた。


ミスター大蔵省、主計閥のドン、としてかの人の名前が一世を風靡していたのは、まだ自分が学生だった10年以上前の話だ。


そんなお方が、「日本郵政の社長」としてこんなところで新聞の一面にカムバックしてくるなんて、退官していた風越信吾が表舞台に戻ってくるのと同じくらいの衝撃だと言わざるを得ない。


「国民福祉税」構想で細川政権に致命傷を負わせた過去だとか、「一郎・次郎ライン」と呼ばれるほどの特定政治家との近さが祟った過去だとか、といった様々な話題が、この方には必ず付いて回るはずなのだが、「そんなことは存じません」と言わんばかりに白々しく称賛する現政権与党の怪奇さは、もはや芸術的な域に達しているといえるだろう。


「郵政改革」と銘打ちながら、実質的には莫大な資産が眠る「郵貯」にしか目を向けず、銀行屋にトップを任せ続けた夏までの路線に問題があったことは否定しないが*1、だからと言って、「民間会社」の人事に政治が介入し、10年以上前の“罪滅ぼし”的な論功行賞人事でトップを決める、ということが果たして合理的なのかどうか?


「勝てば官軍」の世界だけに、今後「名経営者」として新社長が高く評価されることにならないとは限らないが、春先からのドタバタの落ち着きどころとしては、どうにもこうにも後味が悪いと感じるのは自分だけではないだろう。


あとは、指名委員会の“最後の抵抗”に期待したいところなのだが・・・。

*1:個人的には、「郵貯」や「かんぽ」より、郵便事業や物流事業の方がよっぽどビジネスとしては面白いと思う。

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