これで一件落着か・・・?

ちょっと前の話題で恐縮だが、世の中を長らく騒がせていた米グーグルの書籍検索・閲覧サービスの問題で、グーグル側が「大幅に譲歩」した和解案を提出したとのこと。


11月15日付の記事によると、

「インターネット検索最大手の米グーグルと米出版界は13日、電子化した絶版本のネットでの検索・閲覧サービスを巡る訴訟の和解修正案を米ニューヨークの連邦地裁に提出した。対象を米国の連邦著作権登録局に登録された書籍か、英国、カナダ、オーストラリアで出版された書籍に限定。このため日本での出版物は、ほぼ対象から外れることになる。あらゆる絶版本のネット公開を目指した計画は、大幅な譲歩を迫られた。」(日本経済新聞2009年11月15日付朝刊・第3面)

ということである。


米国内でさえ、あちこちから攻撃の火の手が上がっている状況で、慣習も文化も異なる異邦の出版物まで、到底相手にはしていられない・・・というのが、おそらくはグーグルの本音だろうし、スタートとしては、米英加豪の出版物だけでも十分にインパクトはある、という判断なのだろう。


記事には、日本ペンクラブ

「日本の作家が和解から除外されることが明確になったことは一歩前進。日本の著作物が違法に利用されないよう、引き続き注視したい」(井出勉事務局長代理)

というコメントや、出版流通対策協議会の

「日本の書籍は対象とならないと読める記述が修正案に入ったことは、我々の主張の一部が通ったと歓迎できる」(木下郁事務局長)

というコメントも紹介されていて、日本国内の関係者の安ど感も伝わってくる*1


そしてそれは、年初めくらいから、

「こんな(発行したことすら忘れ去られていたような)出版物を*2、何でグーグルが見つけたんだ!?」

的な戸惑いの中、“和解案”への対応という瑣末な業務に追われていた一般企業の著作権担当者にとっても、同じことだろう(苦笑)*3


考えようによっては、「日本国内の(絶版)出版物」という、少なくとも我が国においては*4価値のあるコンテンツが、巨人グーグルの手に落ちることなく温存された、という見方もできるわけで、かえって、「勇ましいベンチャー企業がゲリラ的に検索・閲覧サービスを開始して混乱が生じる」などといったリスクの種を抱えてしまった、とも言えなくはないのだが、たら、ればの話を今しても仕方あるまい。


まずは、米国内での決着を高見から見物、といったところである。

*1:もっとも、自分は修正後の和解案に目を通したわけではないので、上記記事やこのようなコメントが当を得たものなのかどうかまでは十分に評価しえないのだが・・・。

*2:例えば社史とか、特殊な宣伝、技術書籍とか。

*3:「大山鳴動してこれかよ!」的な思いはあるにしても。

*4:&一部の外国の“日本マニア”層にとっては

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