最近、子供の頃慣れ親しんだものがいろいろと消えていくことが多くて寂しいのだが、これもその一つ。
「学研ホールディングスは小学生向け学年別学習雑誌「科学」と「学習」を2010年3月で休刊する。「学習」は1946年の創刊。57年創刊の「科学」と合わせ、最盛期の79年5月には月間670万部を売った。しかし、少子化などで部数が低迷、ここ数年は赤字が続いていた。小学館も10月、学習誌「小学五年生」「小学六年生」を今年度末で休刊することを決めている。」(日本経済新聞2009年12月3日付夕刊・第18面)
自分の記憶では、小学校低学年の頃に、「科学」と「学習」を家で取ってくれていたんじゃないかと思う。
毎月“おばちゃん”が来る日には、普段不在がちだった母親も昼間から家にいて、子供心に、ちょっとしたお祭り気分だったりし、付録を自慢げに友達の家に持って行って遊んだりするのも恒例のイベントだった*1。
当初は学年相応のものを取っていたはずだが、そのうちそれに飽き足りなくなって、2学年、3学年くらい上のを取ってもらうようになり、最終的には、小3か小4くらいで、6年の科学・学習まで終わって「卒業」したんじゃなかっただろうか。
今の子供向け学習教材のように、至れり尽くせり、といった感じのものではなかったし、キャラクター使って興味を惹くような仕掛けもそんなに盛り込まれていなかったとは思うが、そういったあっさりさがかえって自分の学習意欲を駆り立てていたような気がする。
学校で先生に教えてもらうより先に、自分で情報集めて、分からなかったらもっと調べて・・・という自分のスタイルの下地も、たぶんこの辺で形成されたのだろう*2。
ちなみに、記事の中では、売れなくなった理由として、「少子化」とか「嗜好の変化」といった、ありきたりな理由が挙げられているが、「少子化」といっても、ベネッセを始め、売り上げを維持している学習産業は存在しているのであって、これはとてもじゃないけど理由にならない*3。
また、「嗜好の変化」だって、この60年の間にいくらでもあったわけで、ここ数年の大幅な部数減を説明する理由としては不十分であるように思う。
結局のところ、「進研ゼミ」や「子供向け個別指導学習塾」のような、“至れり尽くせり”的教育が当たり前になってしまった時代に、昔ながらの“自分で学ぶための副教材”的な媒体が、限られた親の財布の奪い合い競争を勝ち抜くことはできなかった、というのが、一番真実に近い説明なのではないだろうか*4。
時代の流れ、と言ってしまえば簡単だが、こういう流れが本当にいい流れなのかどうなのか、ということは、一度立ち止まって考えてみた方が良いような気がする。