「初の再投票」だそうで。

次期日弁連会長選挙で、現執行部派の山本剛嗣弁護士が当選に必要な条件*1を満たせず再投票になった、というニュースが今朝の朝刊で報じられている*2


記事によれば、

「今回の会長選の最大の争点は、司法試験の合格者数を年間3000人にまで引き上げるとする政府目標に対する対応」

ということで、山本弁護士が、

「合格者数を現状の年間約2000人とすることを基本に「見直すべきだが、影響が大きく慎重にすべきだ」との立場をとっている」

と主張しているのに対し、1回目の投票で健闘した宇都宮健児弁護士は、

「1500人程度に減らすべきだ」と積極的な削減を主張」

している、ということである。


この辺の主張の当否についてはさておくとして、興味深いのは、「積極的な削減」を主張している宇都宮弁護士を支持した弁護士会の多くが、法曹人口が急増している大都市の弁護士会ではなく、地方部の弁護士会である、という事実である。


日弁連のサイトにある開票結果仮報告の集計表(http://www.nichibenren.or.jp/ja/updates/data/2010_2011_senkyo_karisyuukei.pdf)によれば、山本候補が多数を制したのは、東京3会と大阪、和歌山、山口、長崎、釧路、香川の各弁護士会で、それ以外の弁護士会では、同点の宮崎を除き、全て宇都宮候補が山本候補の得票数を上回っている。


もちろん、宇都宮候補の票が上回った弁護士会の中には、選挙人たる弁護士が1000人を超える横浜、愛知と言った弁護士会も含まれているし*3、山本候補が多数をとった弁護士会の中に、山口や長崎、釧路といったところも含まれていることからすれば、「都市部」=「削減慎重」、「非都市部」=「削減積極」と言いきることには躊躇せざるを得ない*4


だが、法曹人口の増加によって受けるメリットが相対的に小さい東京、大阪の弁護士より、本来、メリットが大きいはずの(しかも、未だに増加した「法曹」が十分に供給されているとはいえないはずの)地方の弁護士の方が宇都宮候補に投票する比率が高かった、という事実は、今、「増員反対」を唱えている人々の本音がどこにあるのかを探る上での一つの手掛かりにはなると思われる。


なお、候補者が2人しかいない選挙で、何度再選挙をやったところで結果が大きく動くとは考えにくいし、その結果どういうことになるか、なんてこともイマイチよう分からんのだけど、時給1万円の価値がある人々が従事する作業としてはあまりにしょうもない“内輪の選挙”を何度も繰り返すのは、傍から見ていていかがなものかと思うので、ここは一つ優秀な方々の叡智を結集して、早目に決着を付けていただくことを願うのみである。

*1:全国52弁護士会のうち3分の1(18会)以上で最多票を獲得すること。

*2:日本経済新聞2010年2月6日付朝刊・第38面

*3:しかも愛知の弁護士会では宇都宮候補がダブルスコアに近い得票数で圧勝している。

*4:記事に掲載されているもの以外にも主義主張の違いはあるのだろうし、それ以前に、各地域の政治的な背景も無視できないはずだ。

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