最高の舞台だからこそ垣間見える人間らしさ

葛西紀明選手、伊東大貴選手、という日本の2枚看板が前日の予選で絶好調だった、というニュースを聞き、もしかしたら・・・という思いで、早起きして見たジャンプ・ラージヒル決勝*1


1回目に21位と出遅れた葛西選手が2回目に135mの大ジャンプを飛び、しかもその後に続く選手たちがバタバタと2位以下に沈んでいくのを見た時にはちょっとした夢が見れたのだが、終わってみれば8位入賞にとどまった。


リレハメル、長野両五輪での原田雅彦選手のエピソードを引くまでもなく、元々スキーのジャンプ競技は、その時々の風に翻弄される可能性が高いものだし、それ以上に選手のメンタル面の動きが結果に色濃く反映されるものでもある*2


それゆえ、2回目に135m、133.5ptという数字が出たからといって、たら、れば、でポイントを2倍して、

「1本目失敗していなければ銅メダルは取れたのに・・・。」

などと言ってみても始まらない*3


ノーマルヒルで、華々しい結果を出せていなかった日本勢にとっては、前日の予選での絶好調ジャンプが、かえってプレッシャーになっていた可能性もあるだろう。


それゆえ、前後の選手との比較でみてもそんなに風の影響は受けていなかったはずなのに、日本勢の1回目のジャンプは、葛西選手が121.5m(105.7pt、21位)、伊東選手が117m(95.6pt、30位)と第2ラウンドに進むのがやっとのレベル、残りの2選手に至っては、あっけなく1本目で敗退・・・という酷い状態だった。


2本目は吹っ切れたように2人とも自分のジャンプをしたものの*4、もし1本目で2本目のレベルのジャンプが出ていたとしたら、逆に2本目の方がプレッシャーで崩れていたかもしれない。


そして、同じように1本目に出遅れながらも(といっても130mを超えて5位につけてはいたのだが)、2本目で優勝したアマン選手に次ぐ136mを飛んで見事に銅メダルを確保したシュリーレンツァウアー選手や、1本目に134mを飛んで3位に付けながらも2本目でまさかの“墜落”を味わったハウタマキ選手*5を見ると、洋の東西を問わず、「最高の舞台でメダルを取る」というプレッシャーはかくも強いのだなぁ・・・と感じ入るわけで*6、「2本合計した数字で勝負を決める」競技の面白さが、今日のラージヒルには満載されていたように思う。


残すは団体戦


こと日本に関して言えば、4人の団体を組むメンバーが2人ほど能力的に足りない状況で*7、メディアが期待しているような派手な結果を残せるかどうかは、大いに疑問がある。


だが、これまで様々な歴史を残してきたジャンプの団体戦だけに、日本勢の勝ち負けにかかわらず一見の価値はあるはず・・・そんな気がする。



もう後半戦に入ってしまった五輪だが、4年に一度しか巡ってこない、という特殊な空間で、垣間見える人の心の機微を観察するための材料は十分過ぎるほど残っている。


ゆえに、このブログでも、あと1週間くらいは特別編成(苦笑)が続くことになるだろうが、どうぞご容赦のほどを。

*1:といっても結局起きた時には既に時遅し・・・だったので、録画していたものを3時間遅れくらいで再生して見る羽目になったのだが。

*2:WiiFitに「スキージャンプ」が入ったことで、前者はともかく、後者については素人の我々にも感覚的に多少は理解できるようになった・・・のかもしれない(1回目大ジャンプした後に2回目まともに飛べたことないし・・・)。

*3:2位のマリシュ選手は269.4pt、3位のシュリーレンツァウアーが262.2点だから、点数的にはちょうどその間に入ることになるが。

*4:葛西選手だけでなく、伊東選手も128.5mを飛んで10人抜きの意地は見せた。

*5:2回目に飛んだ選手の中では一番飛距離が短い104mの飛躍にとどまった。まるで、昔の原田選手のジャンプのVTRを見ているかのようだった。

*6:1回目に125mの失敗ジャンプで16位にとどまったアホネン選手が2本目を棄権した、というエピソードにも、いろいろと考えさせられるところはあった。

*7:こうなったら個人的には岡部主将に登場していただくほかないと思うのだが、それでもまだ一人足りない。

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