汝を愛せよ。

3歳クラシック初戦に向けたトライアルレースもいよいよ佳境に入るシーズン。


今週日曜日の阪神メインには、「フィリーズレビュー」が組まれていたのだが、個人的にはこの名称にどうも慣れなくて、未だに頭の中で「4歳牝馬特別」に変換している*1


で、そんなフィリーズなんたらに出走して人気を集めていたのが公営笠松所属の“ラブミーチャン”。


名前は少々珍妙だが、昨年のデビュー以来ダート戦で連戦連勝。中央に遠征して2歳レコードを叩き出したかと思えば、年末には全日本2歳優駿(地方G1)を快勝し、なんとなんと2歳馬にして年度代表馬に輝いたNARの看板馬である。


芝レースには初挑戦だったとはいえ、「笠松+4牝特」というプロファイルがオールドファンにライデンリーダーの鬼脚を思い出させたのか*2、それとも、地味な血統の上に、栗東入厩後未出走で登録抹消され*3、オーナーに「自分を好きになれ」とばかりに今の名に代えられた*4(そしてそれ以降連戦連勝)という、ドラマティックな馬生が共感を集めたのか、レース前は堂々の2番人気であった。


まぁ、中央と比べれば決してレベルが高いとはいえない環境で、いくら勝ちまくっているからといって、その結果だけを鵜呑みにすることはできないし*5、それまでの逃げ一辺倒のレース運びからも、警戒されてしかるべき、“危険な人気馬”だったのは間違いない。


そして、終わってみれば、何となく予想した通りの決着(最後の直線で失速して12着惨敗)になってしまった*6


だが、そもそも彼女が転厩せずに、栗東所属馬としてここまで過ごしていたとしたら、果たして今日のレースに出るところまで辿りつけたかどうか・・・*7


絶対的な能力は同じでも、環境が変わることによって、生み出す成果が変わってくることはあるし、それによって周囲の評価が変わって、その先の生き方に影響を与えることだってある。そして、それは馬に限った話ではない。

馬が走る姿を見ながら、自分のこれまでの十数年のことを思い出して、何となく感傷的な気分になった・・・

なんてことを言うつもりはないのだけれど(笑)、どうにもこうにもモチベーションが上がらない今、考えさせられることは多いのである。

*1:調べてみたら、レース名が変わってからもう10年近く経っていた・・・。

*2:ライデンリーダーも勝ったレースが初めての芝レースだったはず。

*3:今日の競馬中継で紹介されていたオーナー(小林祥晃氏)のコメントによれば、調教タイムがあまりに酷かったらしい。

*4:ゆえに、由来的には「ラブミー」+「チャン」と分けるのが正しいようだ。

*5:当然ながら、人間にも同じことが言える(苦笑)。

*6:スタートして以降、息を入れる間もなく終始後ろから突かれる形でのハイペースな逃げを余儀なくされていたことを考えると、今回の結果だけで芝適性や馬の能力の絶対値を見極めるのは早計だと思うが。

*7:元々、一度に厩舎に入れられる馬の数には制限があるから、調整が遅れ気味だったこの馬のデビューは大幅に遅れた可能性が高いし、仮に出走できる状況にまで調教が進められていたとしても、新馬戦から出たいレースにきちんと使えていた保証はない(ここ数年、出走希望馬が多すぎて思うようにデビュー戦、未勝利戦を使えない馬も毎週相当出てきている)。

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