コンテンツホルダーの反撃本格化、か。

微々たる歩みながら、ようやくパブリック・コメントまでこぎつけようとしている著作権法への権利制限一般規定導入の議論。


だが、パブコメ募集開始の直前になって、コンテンツホルダー側の反撃が本格化している。

日本新聞協会など14団体は21日、他人の著作物を許可なく利用できる範囲を定める一般規定の導入を検討している文化審議会著作権分科会などに対し、一般規定の必要性について関係者からの意見聴取を行うことなどを求める要望書と意見書を提出した。」
「要望書は「当初から導入ありきで検討された」などと指摘したうえで、関係者からのヒアリングのほか、規定がないことによる混乱の有無などを十分に調査・検証することを求めている」
日本経済新聞2010年5月22日付朝刊・第38面)

以前、ワーキングチームの報告書に言及した際についでに紹介した同種の「意見書」のときは、まだ「6団体」だったことを考えると*1、さらに“協賛団体”が増加したことになり、今後の立法過程に与える影響には、それなりのものがあると言わざるを得ないだろう*2



もっとも、この手の関係者の利害対立が鮮明化しやすい論点に関して、いくら関係者の意見聴取をしたところで、それによって“良い解決”“妥当な解決”が導かれるとは到底考えにくい、というのは、某基地の移転問題の例を挙げるまでもなく明らかなわけで、いまさらヒアリングをやることにどれだけの意味があるのか、大いに疑問はあるところだ。


元々、今回の“フェアユース”規定の導入に向けた動きは、内閣府サイドから先に出てきたものだったはずで、そういった経緯に鑑みるなら、いまさら「必要性」を根底から議論するような状況でもないように思えるのだが、それでもなお、ちゃぶ台返しのような事態が起きるのかどうか・・・。


これまで何度も強調してきたように、筆者自身は「一般規定」そのものに過大な期待はしていない。
とはいえ、やっぱりこういう動きは気になるところで、パブコメでの関係各所の反応と合わせて注視したいところである。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100121/1264087418

*2:本来フェアユース導入によって利益を受けるところも多いはずの新聞社系の協会の名前が前面に出ているのは、相変わらず不可解と言わざるを得ないのだが・・・。

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