以前から囁かれていた*1姫路独協大法科大学院の「撤退」が遂に現実のものとなった。
「姫路独協大法科大学院(兵庫県姫路市)は27日、「新司法試験の成績低迷で学生が集まらなくなり、教育の質を保てなくなった」として、2011年度以降の学生募集を停止すると発表した。在校生17人が修了する13年にも廃止される。」
(日本経済新聞2010年5月28日付朝刊・第38面)
大学側のコメントでは、
「(06年の)第1回新司法試験で合格者を出せず、志願者が激減した」
と、「実績の乏しさ」が最大の原因、という分析がなされているが、これは何も姫路独協だけの問題ではなかろう。
奇しくも、“姫獨撤退”のニュースが紙面を飾ったこの日、大学入試センターから「平成22年度法科大学院志願者数」が発表されたのだが、驚くべきことに、その数は8650人、対前年比1632人減(15.9%減)という絶望的なものになってしまっている(http://www.dnc.ac.jp/modules/cfile/index.php?page=visit&cid=16&lid=751)。
法科大学院制度が始まった平成15年の大学入試センターの適性試験志願者数は31,301人で、特例で行われた同年の「追試」の志願者数だけでも今年の適性本試験志願者数と変わらないくらいの人数が受験していた(8,565人)ことを考えると、姫獨ならずとも、受験者・入学者数を維持し、法科大学院運営を継続していくことが困難であることは、容易に想像が付く。
上記記事が予測しているように、近い将来、法科大学院の整理・統合が加速していくことになるだろうし、その一方で、「大学自体にネームヴァリューがあって」「新司法試験合格率も一定の割合をキープしている」法科大学院は、細々と生き残っていくことになる可能性が高い。
だが、プロの法律家を目指す人々の裾野がこれだけ狭まってしまった中で、一部の法科大学院だけが生き残って“万歳”ということで良いのかどうか。
というのは、文部省サイドのコメントとしては許されるが、法務省、最高裁サイドの関係者が、現時点でこの類の感想しか持っていないとしたら、この国の司法はお先真っ暗というほかない。
自分は、そんなことはない、と強く信じるものであるが・・・。