それでも自分は日本代表に祈りを捧げずにはいられない。

ワールドカップが開幕した今になっても、我らが日本代表チームを取り巻く環境は、決して良好なものとはいえない。


いつもなら大会前は“がんばれ一色”のメディアも、今年のセルビア戦や韓国との壮行試合以降は、サポーターの不満の声を届けている時間の方が多いような気がするし、現にパブリック・ビューイングの予約の出足が悪い、という話も出てきている。


評論家は評論家で、選手の能力から、監督の采配、さらには日本代表、Jリーグの有り方にまで、ずっと批判が続いているところで、金子達仁氏に至っては、

「負ければ、変われる。日本ならば、変われる。だからわたしは、生まれて初めて、祈らないことにする。日本代表の勝利を祈らず、南アフリカでのキックオフを迎えることにする。」(金子達仁「ワールドカップ後、全てが変わる?」Number755・756・757合併号・67頁)

という境地にまで達されてしまったようだ(苦笑)*1



自分とて、“自国の代表だから無批判に、無条件に応援すべきだ”などという立場を取るものではない*2


だが、いくら、大会前の調整試合でパッとしない結果が続いているからといって、大会が始まる前から匙を投げるほど卑屈になる必要もないんじゃなかろうか。


8年前、地元でワールドカップが開催された時も、監督の言動やら選手選考やら、その他もろもろのところで大会前に物議をかもし、代表の支持率は決して高いものではなかったと思うが、それでも結果は見ての通り。


一見盤石に見えるオランダでさえ、毎大会内紛を指摘されるチームだし、カメルーンデンマークに至っては、主力を故障やトラブルで欠き、調整試合でもアップアップしている状況だ。


今回の日本代表には、華やかさはないが、堅実にいい仕事をする選手が揃っている、というのが自分の見立てだけに、逆にいえば、意外な選手が意外な活躍をして、一気に国民的ヒーローに祭り上げられる可能性も十分に秘められているように思う*3



・・・というわけで、残酷な結果が出るまでは、ただひたすら、代表の勝利を今大会も祈ることにする。


つい16年ほど前までは、祈りをささげようと思ったって、祈るべき自国の代表がその場にいなかった。
それを考えれば、どんな結果に終わろうが、今の日本人の方が数段幸せなわけで、そのことを忘れて、W杯を語ることはできない、と思う*4

*1:もちろん、氏のコメントは、今後日本が「ワールドカップで勝つ」ために、サッカー協会とJリーグの旧態依然とした姿勢を変えるべき、というところに向けられたもので、そこに氏の代表チームへの深い愛情が込められていることは疑いようもないのだが。

*2:むしろ躍起になって応援ムードを盛り上げようと四苦八苦しているメディアは見苦しいことこの上ない、と思う。

*3:最初に口火を切るのは、長谷部とか中村憲剛、あるいは長友あたりだったりするんじゃないかと。決勝トーナメント突破がかかるような重要な勝負どころになれば、やっぱり華のある本田か闘莉王あたりの出番になるだろうけど。

*4:たかだか4大会続けて出場したくらいで、飽きた、なんていうのもおこがましい話だ。

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