南米勢の敗因。

一次リーグから好調と伝えられていた南米勢。


ベスト8に4チームが食い込んだのを見た時は、このまま行けば準決勝以降は“コパ・アメリカ”状態になるんじゃないか・・・?といらん心配をしたりもしたが、全くもって杞憂だった。


このまま大会の主役を張り続けるはずだったブラジル、アルゼンチンがともにあっけなく敗退し、パラグアイも健闘空しく散り、結局ベスト4に残った4チーム中、南米勢はウルグアイ1チームだけ・・・。


大会の主役は、この2日間で一瞬にして欧州勢に移った形になった。



敗れはしたものの、パラグアイに関しては、大健闘だったと思う。


日本戦の3-4-3スタイルを4-4-2に代え、しかも日本戦で先発したFW3人とMFベラをベンチに温存する超守備的戦術が見事にはまったこともあって、世界一美しいと言われるスペインのパスサッカーを前半ほぼ完全に封じ込め、終盤までとことん苦しめた。

もし0-0のまま延長戦まで突入していたら、後半投入したベラ、サンタクルスバリオスといった攻撃陣が爆発して、大金星を挙げていた可能性だってあっただろう。


最終的にはスペインの個人技に屈する形になったものの、それでも与えた得点はわずか1点のみ。
南米の意地を存分に発揮した戦いだった。


だが、他の2チームはどうか。


アルゼンチンに関しては、大会当初からノリだけで勝ち進んでいたようなところもあったし、しかも相手が伝統の堅守速攻にスペイン的美しさを加味した“最強ドイツ”だったから、ある程度この結果は予想できたところなのだが、それにしても0-4は負け過ぎだろう。


前半の早い時間帯に先制され、追いかける形になってしまったのがアルゼンチンにとっては痛恨だったのだが、前がかりになってカウンターの餌食になる愚は、前の試合でイングランドが犯していたところでもあり、何でむざむざ同じ轍を踏むかなぁ・・・というのは、誰しもが思うところ。


それだけドイツの戦略に隙がなかった(&マラドーナに戦略がなかった)、といえばそれまでなのだが、決して経験豊富とは言えないエジルミュラーに“W杯の厳しさを教えてやる”といったくらいの気概と嫌らしさが伝わって来なかったのは残念というほかない*1


そして、もっと残念だったのはブラジル。


アルゼンチンとは違って、前半美しい堅守速攻で早々と自分たちのペースに持ち込んだ、はずだったのに、後半のアンラッキーな失点を契機にズルズルと崩され、あれよあれよという間に逆転負け。


ロッベンの巧さと狡猾さに翻弄され、退場者まで出してしまったあの試合の展開を見ていると、どっちが南米のチームなのか分からない・・・という印象だった。


両チームに共通するのは、現役時代の名声に裏打ちされた監督のカリスマ性&個性の強さ*2
逆にいえば、フィールド上に南米勢の“伝統”ともいえたアクの強いプレーヤーがいない、という点でも共通している*3


大陸を越えて選手が動く時代。
代表選手たちにかつてのような“個性”を求めるのは酷なのかもしれないが、あくまで試合に臨むのは選手たちである以上、想定外の事態に陥ったときに立て直していけるようなマインドがないとツライわけで、4年後の自らの大陸でのW杯に向けて、その辺がどう変わってくるのかが気になるところである。


なお、個人的には、せっかくアフリカ大陸でやっているのに、EUROの再現のような試合ばかり見せられてもかなわないので*4ウルグアイには決勝まで残って欲しい、と思っているのであるが、望み薄かなぁ・・・*5

*1:シメオネが現役だったら、とかせめてサネッティがDFラインに入っていたら、とかいろいろ考えてしまう・・・。

*2:かたや規律重視、かたや自由放任、という違いはあるが、いずれのチームも監督のカラーが色濃く出ているという点では共通している。

*3:ブラジルにはカカがいるし、アルゼンチンにもメッシやらテベスやらがいるのだが、いずれも監督の現役時代のフィールド内外での存在感には遠く及ばないような気がする。

*4:結局ドイツ対オランダの準決勝は、EURO2008の決勝戦の再現になってしまうわけだが・・・。

*5:今大会のオランダには、オランダらしからぬ手堅さがあるがゆえに・・・。

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