ドイツ対スペインの準決勝。
栄冠が見えてくるような大一番になってくると、お互い慎重になる、というのはやむを得ないと思うのだが、それにしても、双方慎重に過ぎたんじゃないかな・・・というのが率直な感想だ。
ドイツの方は、スペインの分厚い攻撃の前に防戦一方。
たまにマイボールを確保できても、得意の速攻は影を潜め、前半は僅かにシュート1本。
これまでの相手に比べれば遥かに相手の守備が堅かったのは事実だが、それにしても、“何かを恐れすぎているのでは・・・?”と思わせるような消極的な姿勢が目立った。
スペインの方も、フェルナンド・トーレスに替わってペドロを入れたおかげで、バルセロナ風味の華麗なパス回しは復活したものの、ドイツの真ん中に立ちはだかる2枚の壁の存在感を恐れてか、肝心のフィニッシュのところが遠慮がち。
プジョルの一世一代の一発で何とか先制した後も、決定機はかなりあったのに、そこで決め切れないところもいただけない。
サッカーは点が入れば入るほどいい試合、というスポーツではない。
今日のような試合を、緊迫した攻防の末の1-0、と評価する人もいるだろう。
だが、勝ったスペインは勝者にしてはあまりにナイーブ過ぎたし、敗者としてはドイツより前日のウルグアイの方が遥かに勇敢だった。
僅か1点差なのに、最後の最後まで“何かが動く”気がしない試合なんて・・・*1。
自分はスペインの攻撃を「華麗」と形容する市井の評価自体は間違っていないと思うし、せっかくここまで来たんだから頂点まで制覇してほしい、とも思っている。
決勝で、ベスト4に残った4チームの中ではDFが一番“甘い”オランダを相手にすることになれば、より凄みのある攻撃を見ることができるんじゃないか、という期待もある。
・・・でも、そんな期待が裏切られない保証は、どこにもない。
ドイツの若手選手たちよりも遥かに経験も度胸もあるオランダの攻撃陣(ロッベン、スナイデル、カイト、ファンペルシ・・・)が、スペインの磨きあげられたボール回しの一瞬のスキを突いて、ズドンと重い一発を決める。
そんな絵が自分の脳裏には浮かんでいる。