水俣病の患者認定をめぐり、大阪地裁が国の現行認定基準を否定する判決を出した、というニュースがこの日の紙面を飾っていた。
「水俣病関西訴訟の最高裁判決(2004年)で水俣病と認められながら行政から患者として認定されないのは不当として、大阪府豊中市の女性(84)が、国と熊本県に認定を求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。山田明裁判長は「(感覚障害と運動失調など)複数症状の組み合わせを要件とする現行の認定基準には医学的な正当性がない」と判断し、県に認定を命じた。最高裁判決以降、現行の基準を否定した司法判断は初めて。」
(日本経済新聞2010年7月17日付朝刊・第1面)
国・県の規制権限の不行使が争点となっていた国賠訴訟(関西訴訟)*1とは異なり、今回は、ダイレクトに認定基準の当否が争点とされていた事件だっただけに、事例判断とはいえ、これまで行政側がよりどころにしていた基準が否定された意味は大きいだろう。
そして、何より強烈だったのが、今回の判決では、認定申請棄却処分の取り消しだけではなく、「認定すること」の義務付けまで、判決で命じられていること。
義務付け訴訟類型の法定化は、平成16年行政事件訴訟法改正の際の一つの目玉ではあったと思うのだが、こういう形で「義務付け」が認められるようになってくると、行政訴訟の姿もだいぶ変わってくるように思えてならない*2。
水俣病以外にも、この種の事件は多いだけに、今後の動きが注目されるところである。