大物擁立!(その1)

特許ファンド系の話題は、“またやってるなぁ(大して機能もしないだろうに)”と思って読み流すのがいつもの常なのだが、月曜日の記事は、さすがに捨て置けなかった。

「特許ファンドを運営する米投資会社、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)が日本での事業をテコ入れする。このほど日本総代表に、富士通の元経営執行役で法務・知的財産権本部長などを務めた加藤幹之氏(57)を迎え、国内の大学、企業に眠る優れた特許の発掘などに努める。」(日本経済新聞2010年8月16日付朝刊・第11面)

加藤氏と言えば、記事にもあるように、富士通の法務・知的財産権本部長として、同社の知財戦略を先頭に立って説いてこられた方であると同時に、経団連の知的財産委員会の部会長として、産業界を代表して審議会等の議論に参加して来られた方でもある。


業界では極めてネームヴァリューの高い加藤氏のような方を日本のトップに据えて、しかも、

「現在、日本支社には20人強がいるが、「技術とビジネスの両方が分かる人を増やす」考えで、倍増して米国と並ぶ拠点に育てる」

ということであれば、この投資会社の本気度も伝わって来よう。


「大物」の擁立がファンドの業績にダイレクトに影響を与える保証はどこにもないが、奇しくも、今は日本の技術を支えてきたメーカー各社が、毎年否応なしに事業再編を迫られている、というご時世で、「せめて特許だけでも中国企業あたりに高値で売り飛ばして手元のキャッシュを確保したい」という要望が、あちこちから出てきても不思議はないだけに*1、いろいろと注目されるところである。

*1:開発競争で日本全体が若干世界をリードしていた時代、ではなく、本格的に斜陽化の途を辿るようになってきた時代になって、この手の事業者の出番が来る、というのも結構皮肉な気はするのだけれど・・・。

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