最後の置き土産?

退官を迎えるその日に、自分の直轄部の判決が新聞で取り上げられる、というのは、どんな気分なのだろう・・・?

ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)などに使用された部品などを発明した同社元社員、久米英広氏(58)が、発明の対価を十分に受け取っていないとして、同社に約1億円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が19日、知財高裁であった。塚原朋一裁判長は請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更しソニーに対し、約512万円の支払いを命じた。」(日本経済新聞2010年8月20日付朝刊・第34面)

判決文自体はまだアップされていないし、これまでの傾向からしてアップされるまでにはかなりの時間を要すると思われるので、今回の判決の評価もそれを待ってすることにしたいと思っているが、地裁判決(東京地判平成20年9月29日)の段階では完膚なきまでに退けられていた原告(控訴人)の請求を*1、(請求額に比べれば)微額とはいえ認容した、というのは、やはり最後までサプライズだったなぁ・・・というのが率直な印象であろう。


後任の所長人事は、なぜかこの段階まで報道等では公にされていないのであるが、所長が替わって、またちょっと流れが変わるかもしれない、という気配はするだけに、なおさら、この“最後の置き土産”が印象深いのである。

*1:地裁判決においては、A〜Fまでの特許発明のうち、A〜Cについて「特許に基づく禁止権により被告が独占の利益を得ているとはいえない」とし、さらに残りの発明については、消滅時効の抗弁を援用して全面的に原告の請求を棄却している。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081010154949.pdf、民事29部・清水節裁判長。

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