知財高裁の新体制

個人的にひっそりと注目していた知財高裁の新所長人事だが、21日付の日経新聞の朝刊の片隅(官庁人事欄)にさりげなく掲載されていた。

最高裁(21日)知財高裁所長(知財高裁部総括判事)中野哲弘

新所長の中野氏は、これまで知財高裁第2部の数々の判決に「裁判長」として関与して来られたお方であるが、自分はかねてから、同部が知財高裁の4つの部の中で、最もスタンダードな判決を出す部だなぁ、と思っていたところ。


特に、特許庁の無効審判審決の取消訴訟において、特許庁の審決(特に無効審決)をひっくり返すような動きが出始めていたここ1,2年の状況の下でも、第2部の判決だけは、付言を付すこともなく(笑)、淡々と審決を是認するパターンのものが多かったと記憶しているし、他の類型の事件でも議論が分かれるような法的判断に踏み込むことなく、比較的シンプルに結論を導き出すことが多かった、という印象もある。


よく言えば斬新、悪く言えば・・・という、前任者*1の部とも、「ザ・知財高裁」的な存在感を存分に発揮している某部とも異なる第2部のスタンスが、どの辺に起因しているのか*2は分からないが、この辺の事情が、所長が代わってまた変わるのかなぁ・・・という思いを何となく抱かせる所以でもあるわけで・・・。


前回の所長交代の際もそうだったように、新所長就任後、直ちに独自のカラーが発揮される、ということにはならないのかもしれないが*3、少しずつ変わる気配がないかどうか、注目してみていきたいところである。


なお、上記人事欄には、

知財高裁部総括判事(大阪高裁部総括判事)塩月秀平

という至極順当感漂う異動も掲載されているので、ご参考までに。

*1:なお、今日の時点では未だ知財高裁のHPに所長挨拶文が掲載されたままになっている(笑)。

*2:端的に言ってしまえば、部総括判事のパーソナリティにどの程度依拠しているのか

*3:塚原所長の“メッセージ”が積極的に発信されだしたのは、就任後半年以上経った、2008年の年頭くらいからだった、と記憶している。うろ覚えだが。

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