著作権法にあまり興味がない人にとっても、ある意味とても「分かりやすい」著作権紛争のニュースがオランダから飛び込んできた。
「ウサギの女の子のキャラクター「ミッフィー」の生みの親であるオランダの作家ディック・ブルーナ氏(83)が、サンリオのウサギのキャラクター「キャシー」がミッフィーを模倣し著作権を侵害したとして、サンリオに関連製品の生産停止を求める訴訟を起こしたことが、21日までに分かった」(日本経済新聞2010年10月21日付夕刊・第14面)
断片的な日本のメディアの記事だけだとどうしてもわかりにくいので、向こうのニュースサイト(らしきもの)の記事を見てみた*1。
そんなに詳しく書かれているわけではないが、それでも日本の記事よりを見るよりは、裁判所に持ち込まれた経緯等が多少は理解できる。
もっとも、何でオランダの権利者(ミッフィーの著作権者)側が、この程度の類似性で著作権侵害を主張しているのか、というのはよく分からないところ。
「かわいいウサギ」を書いて服を着せれば、皆同じようなデザインになるし、いくら著作権があるといっても、あらゆるウサギのデザインを「ミッフィー」が独占することまで認められるわけではない。
そして、サンリオだってアホではないから、顔のパーツや、輪郭にしても、侵害を指摘されるリスクまで一応は考えた上でデザインしているだろうし、「ミッフィー」側に対して反論できる材料はいくらでも持っているはずだ。
自分は、ミッフィーの決定的な特徴である“バッテン口”*2に対応する「口」がキャシーにはない(かわりに丸い鼻が書かれている)、という点で、両者の相違は決定的なレベルに達していると思っているし、他にも耳に付けたリボンなど、挙げようと思えば違いはいくらでもある。
ゆえに、いくらホームアドバンテージがあるといっても、アムステルダムの裁判所があっさりと著作権侵害を認めるとは考え難い事案だと思うのだが、それでもなお裁判所に訴えたオランダの権利者の心中はどのようなものだったのか・・・*3。
まずは、裁判所の判断が示される、とされている11月2日に、どんなニュースが飛び込んでくるのか、楽しみに待つことにしたい。
*1:http://www.rnw.nl/english/article/miffy-battles-kathy-dutch-court、写真も大きいものが載っている。
*2:子どもの頃は、あの口が何となく不気味だった・・・。
*3:なお、新聞記事等では「提訴」「判決」という表現がなされているが、本件は短期間で判断が出る、という性質の手続きに乗せられているようであり、これって日本でいうところの仮処分に近い手続きなのかな、と思ったりもしている。オランダの裁判手続に詳しいわけではないので、あくまで想像でしかないのだけれど。