薔薇一族の悲願がこんな形で叶うとは。

ほぼ無名に近い外国勢を横目に、G1ホルダーの日本勢がずらりと顔を揃えた今年のジャパンカップ
下馬評以上に外国馬勢が優勢だった今年の秋のG1の流れを変えるには、十分過ぎるラインナップだった。

そして、最後の直線を33秒台の豪脚で駆け抜けたブエナビスタが、2年連続牝馬V、天皇賞に続き6つ目のG1タイトル獲得・・・!という美しいフィナーレを迎えたはずだったのだが・・・


ライブでレースを見ている時から、ブエナビスタと馬体を並べた同じ勝負服の隣の馬の動きがちょっと不自然(明らかに一瞬止まった)のは分かっていたし、審議に入ってから相当長い時間が経過した時点で、これはあり得るな・・・と思ってはいたのだが、地上波の中継が終わり、BSに切り替えて間もないタイミングで、(ブエナビスタ陣営にとっては)悪夢のような「順位入れ替え矢印」が映ったときは、やっぱりちょっとショックだった。

3歳時の秋華賞でもそうだったように、器用さよりもビュッと切れる末脚が持ち味のこの馬の場合、どうしてもゴール前のコース取り次第で、進路妨害を生じさせてしまうリスクを負っているのは確か。
そして、鞍上が、本場欧州でもまれた故の、(日本人から見れば)荒っぽい騎乗で知られるスミヨン騎手*1だったことも、彼女にとっては不幸だったのかもしれない*2

だが、国際的には最も格の高いG1レースで、あれだけきれいな勝ち方をして、“ウィナー”の称号を手に入れられない、というのは、どうなのかなぁ・・・と正直思う。

カワカミプリンセスの時もそうだったけど、細かいことはどうでもいいから、一番チャンピオンにふさわしい馬にその称号を与えてほしい、と思うレースはあるわけで*3、そんなレースで多くの人々の「記憶」と「記録」が食い違う、というのは関係者にとってもファンにとっても決して良いことではないと思う。


なお、結果的には、ダービー、菊花賞に続き、“一族の伝統”2着の座をしっかり死守したはずだったローズキングダムが、繰り上がって優勝。

古馬G1制覇、という“薔薇一族の悲願”をこれで見事に達成したことになったし、今季記録を伸ばすのはかなり苦しい、と思われていた鞍上の武豊騎手にも23年連続G1勝利をプレゼントすることになった。

本来であれば、こんな“拾いもの”の勝利ではなく、もっと人気を背負った状況で堂々と勝ちきって、悲願を達成して欲しかった、というのがファンの本音なのかもしれないが、2度の不利を受けてもなおヴィクトワールピサとの競り合いで負けなかった、という底力と勝負根性が、最後の最後でタイトルを持ってきてくれたのかなぁ・・・と思うと、“繰り上がり”とはいえ、ちゃんと称賛してあげる必要があるだろう。


何度もあと一歩のところで涙をのんできたくせに、タイトルを獲るときは、完敗でも繰り上がって獲れる・・・という運命の不思議。

これを機に、憑きものが落ちたように薔薇一族が勝ちまくることになるのか、それともこれで生涯分の運を使いきってこの先は今までに輪をかけたシルバー・ブロンズコレクターになるのか、今は分からないのだけれど・・・

*1:このジョッキー、短期免許で来るたびに、一度は騎乗停止食らってるような気がする・・・。

*2:ついでに言えば、隣の馬に騎乗していたのが“上品な”騎乗をする武豊騎手で、進路が狭くなった時に無理な騎乗をしなかったことも、余計にブエナビスタの進路構成の“悪質性”を際立たせてしまったような気がする。

*3:あの時のレースはライブで見ていたが、繰り上がった勝ち馬のレースぶりの記憶なんて、自分の中にはほとんど残っていない。

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