ちょうど一年前に、涌井紀夫最高裁判事の現職でのご逝去(現職では21年ぶり)の報を記したばかりだというのに*1、またしても今年の11月21日、近藤崇晴最高裁判事ご逝去という悲報が舞い込んできた。
それだけ最高裁判事の職も激務になってきた、ということなのか、それとも単なる悲しい偶然なのか、は分からないが、こう毎年毎年続くと、中の人も大変だろう・・・と同情を禁じ得ない。
・・・で、こういう突然の出来事が起きると、そこで運命が変わる人もさらに出てくるわけで。
涌井判事ご逝去のときは、定年間近だった白木勇・東京高裁長官が急遽“昇格”という事態になり、それが一つの話題を呼んだ*2。
そして、今回の後任人事もまた驚きである。
「政府は7日の閣議で、11月21日に死去した近藤崇晴最高裁判事の後任に、寺田逸郎広島高裁長官を任命することを決めた。27日付で発令する。」(日本経済新聞2010年12月7日付夕刊・第2面)
昭和49年判事補任官の62歳、今年の2月に高裁長官に就任したばかり、というのは、最近の裁判官出身者としては異例の若さ、といえるだろう*3。
どちらかと言えば、裁判官、というより、も数々の法改正のたびにお名前が出てきた、「法務省の人」としての印象が強い寺田氏が、“現場復帰”からわずか3年で最高裁判事になる、ということのインパクトも強い。
経歴や元最高裁長官の子息、という血筋からすれば、遅かれ早かれ・・・というところではあったのだろうが、突然の訃報さえなければ、最高裁裁判官の構成は今年6月の堀籠氏の退官以降、しばらく変わらない見通しだった*4から、今回の就任にはアクシデント的要素が決して小さくない、ということができるだろう。
突然訪れた運命の悪戯。
順当に行けば、平成30年1月まで、約7年にわたって最高裁判事の職に就くことになる寺田・新判事が、最高裁の歴史にどのような足跡を残されるのか、見守っていくことにしたい。