不毛なバッシング

S&Pの日本国債格下げのニュースに続けて、昨夜繰り返し流されていたのが、菅直人首相の

「そういうことに疎いので・・・」

発言。

一夜明けて国会でも取り上げられるような事態になってしまったらしいが・・・

「今、初めて聞いた。衆院本会議から出てきたばかりで」

という上記発言につながる前振り*1をちゃんと聞いていれば、首相の発言は、「国債の格付けのことなんて良くわからない」という意味ではなく、単に「まだ情報が手元にない」といった意味であることは明確にわかるはずだ。

国債の格付けが下がる」というのは決して軽い話ではない。

だが、所詮は一格付け会社の発表に過ぎない話なわけで*2、その情報を国会審議の真っただ中にいた首相がリアルタイムで入手していなかった、ということが、そんなに重大事なのだろうか?

この件に限らず、年明け以降のメディアの政治報道は、ちょっとしたことで揚げ足とりをするようなものが多すぎる。

与謝野氏を閣内に取り込んで財政再建路線に明確に舵を切り、さらに大畠経産相を事実上更迭してTPPシフトを鮮明にした先般の内閣改造にはそれなりに見るべきところがあったと思うのだが、残念ながらメディアが取り上げる話は、首相の言い間違いやら、答弁漏れやら・・・といった蓮っ葉な話ばかりで、正面から今の政権が目指そうとしている政策に着目した議論、というのがなかなか出てこない*3

別に今に始まったことではない*4にしても、このまま叩くだけ叩き続けて、春以降の政権交代劇でひと稼ぎ・・・という思惑さえ透けて見えるような最近の動きを見ていると、いい加減イライラしてくる。


何度も逆境から這い上がってきた菅首相のこと。
どうせ今年は放っておけば、地方選しかない年なのだから、叩かれても叩かれても、1年以上は政権を維持してみせる・・・そんな執念を見せてほしいと思っているのではあるが・・・*5

まぁ、過剰な期待はしないでおこう。

*1:日本経済新聞2011年1月28日付朝刊・第3面。

*2:しかも母国でも、その格付けの恣意性が批判されているような会社の・・・である。

*3:もちろん、前政権の遺物を十分に整理できていないために、予算編成を見ても、目指そうとしている政策自体が分かりにくい、というのは事実だが、それならそれで、きちんと整理できるようにフォローしていくのもメディアの役割であるはず。本来、「バッシングの方針」にも一貫性が求められるはずなのに、それがないまま“ためにする”バッシングを繰り返しているから、一向に生産的な議論が深まらない。

*4:小泉政権末期の頃から、メディアの政治報道の質の劣化が大幅に加速しているような気がする。

*5:とにかく安倍晋三以降の「1年交代」が今年も繰り返される事態だけは勘弁してほしい。多くの国民がそう思っているであろうことが、むしろ今の首相にとってはプラスに働く可能性もあるのだけれど。

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