講談社は取り返せるか?

ここのところずっと“八百長“問題で揺れている相撲界。

今回、「携帯電話のメール履歴により八百長発覚」という驚愕のニュースが流れるまでは、裁判で負けっぱなしだった出版社も、俄然、ここぞとばかりに反撃を試み始めている。

「元横綱朝青龍らの八百長疑惑を報じた「週刊現代」の記事をめぐり、日本相撲協会などが2007年に提訴した複数の裁判で敗訴が確定している発行元の講談社は14日、記事の取り消し広告を掲載したことなどによる損害を回復するよう求める通告書を協会に送った。」(日本経済新聞2011年2月15日付朝刊・第38面)

講談社が支払った損害賠償金は825万円。

さらに、記事の取り消し広告掲載や、その他の風評被害など、出版社として受けた不利益には甚大なものがあるだろうから、これを機に一気に反撃に転じたい、という思いは良く分かる。

平成21年3月26日、東京地裁で出された一審判決を見ると、原告には豊桜春日錦、といった今渦中の人物たちが名を連ねているし、“ほれ見たことか・・・”と叫びたい気持ちもきっと強いことだろう。


だが、冷静に考えると、裁判の結果掲載した取り消し広告が、

「週刊△△」2007年2月3日号が掲載しました「横綱朝青龍八百長を告発する!」と題する記事,同2月10日号が掲載しました「“黒い横綱朝青龍のカネに群がる大相撲『八百長コネクション』」と題する記事,同2月17日号が掲載しました「私たちが見た品格なき朝青龍の素顔と八百長現場」と題する記事のうち,朝青龍が,平成18年11月に挙行された大相撲九州場所及び平成19年1月に挙行された大相撲初場所において,対戦相手に金銭を渡すことによって意図的に負けてもらうという,いわゆる八百長を行ったとの記事及びこの2場所に限らず,朝青龍本場所の懸賞金を原資として対戦相手に八百長を持ちかけており,他の多くの力士もこれに応じているとの記事は,十分な裏付けを欠くものですので,これを取り消します。」

というものであることからもわかるように、当時の記事は、専ら大横綱(当時)・朝青龍にターゲットを絞ったものが多かったように思う。

そして、幸か不幸か、朝青龍が既に相撲界を離れてしまった今、仮に今後“八百長”に関してどんなに真っ黒な力士が出てきたとしても、本件記事に関してみれば、上記のような認定を覆すのは決して容易ではないはずだ*1

今後相撲協会がどのような対応をするのか分からないが、決してすんなりとは収まりそうにない講談社の名誉回復への道筋がどうついて行くのか(それともつかないのか)、温かく見守っておくことにしたい。

*1:その意味で、今思えば、朝青龍引退のタイミングは絶妙だったように思う。

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