今こそ、西に向かおう。

この1週間、世の中でいろいろと心が重くなる出来事が続いて、沈鬱なムードにすっぽりとはまってしまっていた。

きっかけはもちろん地震津波なのだが、それだけで終わっていれば、今頃は東北の地から伝えられる数々の美談がメディアを賑わせ、「頑張ろう○○」といったような、復興に向けた景気の良い話もチラホラ出始めていたことだろう*1

だが、「原発」と「停電」の二大恐怖が、この1週間の首都圏の空気を極めて寒々しいものにしてしまった。

本来、災害で直接の被害を受けていない者たちが被災地のためにやるべきことは、「消費による経済の下支え」に尽きるのであるが*2、「消費」したくても、小売店舗の商品や飲食店の食材は早々となくなり、消費意欲を喚起する街中のネオンは消え、交通手段は乱れた挙句、「もしかしたら放射性物質が飛んでくるかも?」と気にしながら街中を歩かなければならない・・・という状況では、皆、前向きな気持ちになれるはずがない。

そして、そんな状況に輪をかけるように、数々のイベントが順延ないし無期限延期、中止に追い込まれ、今月最大の華のあるイベントになるはずだった“世界フィギュア”すら、開催できない事態になってしまった*3

この週末も、せっかくの3連休なのに、買い貯めた食材を抱え込みながら、世帯ごと部屋に閉じこもって嵐が過ぎ去るのを待つ・・・人々が、決して少なくないことだろう。


でも、そんな時だからこそ、自分は言いたい。

「西へ行け。そして消費せよ!」

と。

少なくとも、自分がこれまでやり取りをした友人等の感触からすれば、名古屋から西の人々は、首都圏の人間ほど、今回の一連の出来事を深刻には受け止めていないように思われるし、実際、西の方でしか行われていないイベントも多い*4

日本列島の周辺で大規模な地殻変動が起きてしまった以上、地震に関してはどこに行ってもそれなりのリスクはあると思うのだが*5ラドン温泉を超えるレベルの放射線を浴びる可能性は(こっちに比べれば)少ないだろうし、輪番停電に冷や冷やさせられる必要もない。

九州まで行けば、新幹線全線開業と博多シティ効果で賑わいを楽しめるだろうし、大阪でも再開発エリアに新しい商業施設が次々とオープンしている。

何より、お店に入って真っ先に空っぽの棚が目に入る、なんてこともないだろうし、よく入り口で目を凝らさないとお店がやってるかどうかすらわからない、なんて思いをすることも、(少なくとも今の段階では)ないはずだ。NHKにチャンネルを合わせさえしなければ、テレビを付けていても、一連の忌々しい災厄を思い出すことはそうそうないと思う。

この国の広さ、豊かさをあらためて確認し、文化の違いを実感し、そして、気兼ねなく金を落とす・・・

それこそが、“皆が得する”選択肢ではないだろうか*6

ゆえに、仕事柄、休日出勤や自宅待機を余儀なくされているなどという事情がないのであれば、迷わず西へ出かけて、少し贅沢をしてみるのが良いと思う。

そして、これを読んだ貴方が、既に春休みに突入した学生さんなのであれば、3連休と言わず、ほとぼりが冷めるまでの間、迷わず名古屋以西で暮らす道を選択すべきだろう。
焦ってシュウカツしようと思ったって、首都圏に拠点がある会社の本格的な採用活動が始まるのは、当分先の話になるし、学校だって、4月にきちんと新学期を始められるのか、疑わしい状況なのだから・・・*7


残念なことに、いくら声高にこんなことをここで叫んでいても、自分の場合、あれこれの都合上、今、東京を離れることが困難な状況にある。

だが、さすがに1週間たって、もうあれこれ考えても仕方ない、という思いは沸々と湧いてきているところでだし、幸か不幸か、我が家には、今回の地震後にアクシデントに備えて買い占めたような物品は、一切存在しない(笑)。

ゆえに、この3連休は、空いているファーストフード、ファミレス、定食屋や、喫茶店、居酒屋をハシゴして、ヒト気のない店内でのんびりくつろぎながら、有意義な時間を過ごしたいと思っている。


ちなみに、免震構造のビルの高層階で連日揺られ続けたせいで、ここ数日は、地震波が来てもいないのに「ゆれてる・・・?」という、フラッシュバックのような後味の悪い感覚に襲われたりもしているのだけれど、それもこの3連休の間に消え去ってくれればなぁ・・・と*8

*1:それが被災地の方々の感情に添うものかどうかは別論として。

*2:それによって我々の生活にかかわる様々な企業の業績がカバーされなければ、復興支援もままならない。

*3:後に残されたのが、大手新聞社のエゴが透けて見える野球系のイベントだけ、というのが何とも寒々しい。

*4:中央競馬」が阪神・小倉の二場でしか開催されていない・・・のみならず、馬券を普通に買うことすら(味気ないIPATを使うなら別だが)西の方に行かなければ叶わない、というのは、まさにその典型だろう。

*5:長い歴史から見れば“ごく最近”エネルギーを放出したばかりの阪神淡路エリアであれば、比較的安心感もあるのだが・・・。

*6:この観点から言えば、民放や新聞等の広告で、今、“ディスカバーウエスト”だとか、京都に行こうキャンペーン的なものが流されていないのは、ちょっと残念な気がする。ACの広告も悪くはないけど、消費を喚起する手段としては明らかにふさわしくないであろう。

*7:下手すると入社式すら、4月1日に行えるかどうか怪しい会社が東京にはたくさんある。

*8:同じような感覚障害(?)に襲われている人は、身の回りにもかなりいるようだから、直に話題になることだろう。・・・と思ったら既に話題になっていった(http://www.j-cast.com/2011/03/18090871.html)。

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