被災地に配慮して早々と開幕順延を決めたパ・リーグに対し、空気読まずに25日開幕を強行しようとして、選手会の思わぬ抵抗*1にあっていたセ・リーグが、文部科学省からも冷たくあしらわれて、“泣きっ面に蜂”状態になっている。
「プロ野球のセ・リーグは19日、東京都内で臨時理事会を開き、公式戦の開幕を29日に延期することを決めた。17日に当初予定通り25日開幕と発表したが、文部科学省からナイター自粛などを要請する通達を受けて再度検討。延長戦を行わないなど節電策を出したものの、4月5日以降は、ナイター開催する方針だ。」(日本経済新聞2011年3月20日付朝刊・第21面)
当初予定されていた25日からの開幕カードでは、
という関東圏の2球場が使用される予定になっていたところ、それを飛ばして29日から始めると、
横浜スタジアム(横浜対ヤクルト)
だけで済む(しかも屋外球場でのデーゲームだから、東京ドームを使うことを考えれば、それなりに電力は節約できる)。
「消費電力が少なくなるんだからいいじゃないか・・・!」というのが、リーグ側の言い分なのだろう。おそらく。
だが、これはいくら何でも安直に過ぎる。
単に「被災地」だけを意識すれば済むのであれば、「元気づけるため」という名目で、早期に開幕して、世の中に明るいニュースを提供する、というやり方にも、一定の共感は得られただろう。
だが、今、首都圏は、計画停電真っただ中、物資不足の解消も途上感あり、という状況で、ダメージの大小こそあれ、立派な“被災地”に他ならない。
そのような状況で、猛烈に電気を食らう「東京ドーム」での開幕戦を押し通そうという姿勢自体がネガティブに評価されていたのに、“お上”に言われるや否や、アリバイ的に1カード落とし、それでいて読売グループの利益だけはちゃっかり護持しようとする・・・*2。
そんな姿を見て、誰がこのリーグの試合を金払って見たいと思うだろうか?
欲の皮が突っ張った発想、というのは、概して見込みどおりにはいかないもので、まだ震災と原発と停電の余波が残る3月下旬に“ひっそりと”開幕することを余儀なくされる「セ・リーグ」と、4月に入って様々な問題が落ち着き、被災地も「復興」モードに入った頃に、地元の希望を背負った楽天球団を看板にして開幕を迎えることができる「パ・リーグ」とでは、人気もメディアの注目度合いも、雲泥の差になることは目に見えているから、これで名実ともに(少なくとも東日本では)セ・パの地位が逆転してしまうんじゃないかなぁ・・・と、内心思っていたりもする。
実力的には既に大きく水を空けられてしまっているのだから、ここは柔軟に「4月12日開幕」に合わせて、「宇部」のファンに開幕戦を見せてあげる、といったような粋な計らいをすれば*3、読売球団ももう少し愛されるチームになるのだろうけど。まぁ、期待はすまい(笑)。