今春の知財系学会

いつもならもっと早くモードが切り替わっていても不思議ではないのだが、今年はバタバタしているうちに、もう学会シーズンか・・・というのが率直な感想。

とはいえ、興味深い内容もあるので、例年通り、ここでご紹介しておくことにしたい。

著作権法学会

平成23年5月21日(土)一橋記念講堂
<個別報告>
(1)知的財産権の正当化根拠論の現代的意義 同志社大学 山根崇邦助教
(2)出版社の権利に関する比較法的考察 明治大学 今村哲也准教授
<シンポジウム> 
「間接侵害について」 
 東京大学 大渕哲也教授
 立教大学 前田陽一教授
 弁護士  三村量一氏

「間接侵害について」というテーマでこの顔ぶれ、というのが、今年の著作権法学会への期待を抱かせる最大の要因というべきか(笑)。

もっとも、「間接侵害」と言っても、そもそもどのような利用(侵害)態様を想定するか、ということによって、議論の中身は大きく変わってきてしまうように思えるだけに*1、有意義な議論にするためには、事前に土俵を綿密に設定しておくことが欠かせないのではないかと思うのであるが。

日本工業所有権法学会

平成23年5月28日(土)名古屋大学
<個別報告>
(1)特許法学における制度論的研究の発展 同志社大学 山根崇邦助教
(司会)大阪大学 茶園成樹教授
(2)特許権侵害訴訟判決の再審について 東京経済大学 小島喜一郎専任講師
(司会)早稲田大学 高林龍教授
<シンポジウム>
「通常実施権‐当然対抗制度を中心に」(司会 神戸大学 島並良教授)
(1)総論 神戸大学 島並良教授
(2)ドイツにおける当然対抗制度 学習院大学 横山久芳教授
(3)アメリカにおける当然対抗制度 京都大学 愛知靖之准教授
(4)当然対抗制度と民法 早稲田大学 鎌田薫教授・総長
(5)当然対抗制度の導入と実務上の問題点 弁護士 片山英二氏

まずは学会Wヘッダーの山根助教、お疲れさまです・・・というところから(笑)*2

シンポジウムも、若手エース格の先生方が揃っている中に、鎌田総長、片山弁護士というビッグネームが登場される、というのは、いつもながらに豪華な組み合わせだなぁ、と思ってしまう。

通常実施権の当然対抗を認める(それに伴い特許法99条を改正する)特許法改正案は、今国会での成立を待つばかり*3となっているが、理論的にも実務的にも興味深いところが多いテーマだけに、聞きに行く価値は十分にあるのではないだろうか。

*1:講学上の「間接侵害」と、実務一般で使われている「間接侵害」の中身は必ずしもイコールではないし・・・。

*2:どういう経緯か分からないのだが、一つだけでも大変でしょうに、ましてや2週連続で・・・となると、ちょっとびっくり。

*3:議案審議経過情報によると、参院で既に可決され衆院で審議中、ということのようだ。

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