「3度目」での決着

以前、高裁と最高裁の間を行ったり来たりする“エレベーター事件”としてご紹介した、パチンコ店営業妨害事件。

昨年7月に、最高裁の2度目の差し戻し判決が出て、実に珍しい同一高裁での3度目の審理、という事態になっていたわけだが(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100723/1280891215)、結局、和解という形で落ち着くところに落ち着いた。

「北海道稚内市に進出しようとした札幌市のパチンコ業者が、予定地近くに児童公園をつくられ出店を妨害されたとして、稚内の同業者に約10億円の損害賠償を求めた訴訟の3度目の控訴審は13日、札幌高裁(井上哲男裁判長)で和解が成立した。稚内の業者が損害を与えたことを認め和解金を支払う内容。」
日本経済新聞2011年5月14日付け朝刊・第39面)

事実審である高裁がライバル業者系の福祉法人による児童公園設置を「福祉目的で適法」と言っているにもかかわらず、「事実」から遠いはずの最高裁がそれをひっくり返す、という異例の展開を何度も繰り返したことについては、いろいろと議論の余地はあるだろうが、かといって稚内の業者側に全く競争妨害目的がなかった、とも言えない事案だけに、それなりに控えめな金額で折り合いが付いたのであれば*1、良かったのではないかと思う。

それにしても、今から10年以上も前の話が、6度(地裁1回、高裁3回、最高裁2回)の審理を経てようやく決着・・・という話を聞くと、最近ではあまり聞かなくなった、「裁判には金も時間もかかる」*2というフレーズが想起されてしまうわけで・・・。

既に仮処分決定から5年近く経過している某知財事件の行く末をも彷彿させるような事件である。

*1:和解金額自体は非公表で、最初の地裁判決の認容額と比べてどうなのか、というところも良く分からない。これだけ裁判が長期化すると、原審の認容額をベースにしても、附帯請求分を除くか丸めるかするだけで、和解が成り立つ余地が出てくるだろうし・・・。

*2:金がかかるのは今でもそんなに変わらないかも(苦笑)。

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