6月は厳しい月になるのは、もともと分かっていたことだけど、それにしても度を越したハードスケジュールで、いい加減、頭も体も参ってくる。
特に、株主総会当日が刻一刻と迫ってくるこの時期になると、ちょっとしたことで上から下へと大騒ぎになるわけで、日々苛立たしいことこの上ない。
議案の審議に際して、想定される株主の質問に、答弁役員が「A」と答えようが、「B」と答えようが、その内容が明らかな虚偽でもない限り、決議の有効性に影響を与えるような事態に至ることはないし、答弁の内容的に少々“すれ違い”であったとしても、それによって決議取消の憂き目にあった、なんて話はまず聞かない。
骨太な考え方を、偽りなく丁寧に、自分の言葉で株主に対して説明できれば、会社法314条の観点からは問題なく議事を進行できるはずで、枝葉末節な質問やそれに対する答弁の言い回しをどうするか、なんてことは、本来、些細な、好みの問題の領域に過ぎない問題のはずなのだから、もっとどっしりと鷹揚に構えておれば良いのに・・・と*1、嘆きの尽きない事務方諸氏は、この時期あちこちの会社にいることだろう。
だが、それでも自分らはまだ恵まれている、と思ってしまうようなニュースが一つ。
「ソフトバンクは24日に都内で開く定時株主総会に向け、ツイッター(簡易ブログ)での質問の募集を始めた。株主以外の質問も受け付け、議案採決のための株主質問とは別に事業報告の一部として孫正義社長が回答する。」
「孫社長がツイッター上で明らかにした。質問は孫社長の「つぶやき(ツイッターへの書き込み)」に返答すれば会社側がとりまとめる。」
(日本経済新聞2011年6月19日付け朝刊・第5面)
ああ、もうこれは、事務方の皆さんお疲れさま・・・というほかない。
元々「開かれた総会」をアピールするにしても少々やり過ぎ感があったのが、この会社の総会だっただけに*2、多少の奇策には驚かされないのだけれど*3、「つぶやき」を拾い集めて、最低限の回答ができる程度の事実関係資料とセットで社長室に届ける事務方の苦労を想像すると、
「さすが時代の寵児、発想が一歩先を行っている」
なんて、軽々しくこの企画を持ちあげるような気分にはとてもなれない。
もちろん、どんな質問も受け止めて消化して、自分の言葉で“ワールド”に引き込むこの経営者には、従来型の日本企業の経営者にはない魅力があるのも確かなのだけど・・・。
常に日が当たるトップの縁の下で、汗を流しているこの会社の人々が、無事総会の日を迎えられることを、自分は心より願っている。