いろいろあった今年の競馬シーズンの前半を締めくくった宝塚記念。
海外遠征に焦点を絞っている馬が多いこともあって、戦前は、“夏のグランプリ”にしてはメンバー的に小粒かな・・・という感が強かったのであるが、やや湿った馬場ながら、ハイペースな展開のアシストもあって、アーネストリーがコースレコードを叩き出して快勝!というなかなか締まったレースになった*1。
個人的には、ルーラーシップ、トゥザグローリーといったあたりを当然のように追いかけて、撃沈する、というダービーに続いての“良血に騙される”パターン・・・に沈むことになったのだが、変なこだわりを持たなければ、比較的とりやすかったレースだと思う*2。
ブエナビスタのファンにしてみれば、またしても2着か・・・とため息をつきたい気分だろうが、実のところ、今回のブエナの2着は、「惜しくも負けた」というよりは、「何とか連を守り切った」という方が適切な表現だろうから、これまでのレースに比べると悔しさも控えめ、ということになるのではなかろうか*3。
年に20レース以上もグレード1のレースが行われる今の日本においては(海外も入れるともっとだ。)、シーズンが終わったときに、勝った馬しか記録にも記憶にも残らない。
ゆえに、「2着」という結果は、基本的には、“たかが・・・”でしかない。
しかも、2着続きで大レースを勝ちきれない馬には、“勝つ馬”との決定的な力の差があったり、気性から来る脚質の問題だったり、と、皆それなりの理由があるのであって、道中きっちりと折り合いを付けながらも、いいポジションを確保できずに、結局最後の直線に入る段階で実質的には勝負あり・・・になってしまったこの日のブエナビスタを見ていると、“惜しい”という言葉だけでは片付けられない、決定的な弱点が透けて見えるのも事実。
だが、負けれども負けれども、絶望的なポジションから、飽きることなく鬼の豪脚が繰り出されるシーンを何度も見ていると、所詮2着馬、と簡単に片付けられない思いも出てきてしまうわけで。
“されど2着”。
“新・シルバーコレクター”の称号がすっかり板に付いてしまったブエナにも、シーズンが変われば再び勝利の女神が降臨するかもしれない。
筆者としては、秋になってブエナが再び大輪の花を咲かせてくれることを願うとともに、夏が明けたとき、何事もなかったかのように、いつもの競馬の季節になっていることを、ただただ祈るのみである。