今年の3月初め頃にメディアの話題を独占していた感があった、「入試問題ネット投稿」事件。
直後に東日本大震災が発生したこともあって、いつの間にか忘れられた感もあったのだが、4ヶ月経った今、司法の場で一つの決着がついた、というニュースが社会面の片隅にひっそりと掲載されている。
「京都大などの入試問題がインターネットの質問サイトに投稿された事件で、山形家裁(矢数昌雄裁判長)は7日、少年審判を開き、偽計業務妨害の非行事実で送致された元予備校生の少年(19)を不処分とした。山形家裁は非行事実を認定し「不正な手段を使ってでも合格したいと考え、発生した結果も軽くはない」とした上で「大学に謝罪文を提出するなど深く反省している。母親も積極的に監督していくことを誓っている」と指摘し、保護処分の必要性はないと判断した。」(日本経済新聞2011年7月8日付け朝刊・第35面)
非公開が原則の少年審判で、決定の内容がここまで外に出てくる、というのは、何だか不思議な気もするが、いずれにせよ、容易に想定できた範囲内の結論である*1。
少年事件の場合、非行事実の軽重と合わせて、「要保護性」(本人の可塑性、指導監督できる環境の有無等)が最終的な処分を決定する上でかなりの比重を占める要素となるので、「不処分」という結論が、イコール「少年が犯した罪の軽さ」を意味するものではない。
だが、本件の場合、仮に元予備校生が20歳以上だったとしても、おそらく不起訴で終わる程度の話だったのではなかろうか。仮に起訴されるとしても、略式で簡裁での罰金刑がせいぜいだろう。
そんなちっぽけな話のために、散々バッシングされ、素性やら何やら、といった様々な情報を四六時中メディアで垂れ流しされた当の少年のことを思うと、何とも気の毒に思えてならない。
メディアの報道姿勢はもちろんのこと、本件を無理やり「事件」として立件しようとした警察の謙抑さを欠く捜査態度も、また検証に晒されるべきだと個人的には思うところである。
まぁ、メディア以上に、ミーハーな人々の多くがこの事件のことを忘れている、ということが、不幸中の幸いなのかもしれないけれど・・・。
心の平静を取り戻した少年が、来年の春、無事志望校の門をくぐれるようになることを、今は心から願う。