劇的な優勝から一日、また一日。
現地でも、日本に凱旋帰国してからも、しばらくテレビ出演が続いていた“なでしこ”こと、サッカー女子日本代表チーム。
結果的に、当初の予定よりも長期間の遠征になった、ということもあってか、帰国後あまり休む暇もなく、今週末からはリーグ戦が再開される、という強行軍のスケジュールなのに、落ち着く暇もなく、ニュース番組、バラエティ番組を次々とはしごする彼女たちを見ていると、正直気の毒にさえ思えてくる。
もちろん、お祝いごと、ということもあるし、民放某局との関係では、(少なくとも準決勝以降)貴重な地上波の電波を中継に充ててくれたことへの義理立て、という意味もあるのだろう。
それに加えて、ここ何度かの大きな大会で男子を上回る成績を残しながら、長らくマイナースポーツの域を脱しきれなかった*1女子サッカー界とそこを生き場にする選手たちにしてみれば、今回の優勝とその後の取材攻勢を“またとないPRのチャンス”と捉える思惑が働いたとしても不思議ではない。
だが、いかにそういったしがらみや思惑があるから、と言っても、ニュース番組の何ちゃってキャスターや、ワイドショーのコメンテイターの“どうでもいい質問”、“アスリートに本来聞くようなことではない質問”が、壊れたテープレコーダーのようにあちこちで繰り返されているのを見てしまうと、何とも言えない気持ちになる*2。
男子のフル代表が、大会で結果を残して日本に帰ってきた時に、
「彼女はいますか?」
なんて質問をニュース番組の中でされることは、まずないだろう。
少々、素人的で表層的と言われるようなものであったとしても、一応は、試合や大会中のエピソードに関する質問で選手たちのコメントを引き出すのが、取材、報道する側のマナーであるはず。
それが、(ベタな)プライベートの質問に飛んでしまうのは、元々視聴者にあまり認知されておらず、奥の深い質問ができるだけの取材の蓄積も乏しいマイナースポーツゆえ、で*3、いずれ競技と各選手に対する知名度が上がって行けば、「普通のアスリートに対するインタビュー」を彼女たちも受けられるようになるのかもしれないが、それまでどれくらいかかるのか(そして、果たしてそんな時が訪れるのか)、今回の彼女たちの扱いを見る限り、まだまだ先は長いと感じさせられる・・・。
今回、彼女たちのおかげで高い視聴率の恩恵を受けながら、彼女たちのアスリートとしての日頃の魅力を伝えきれなかったメディアには、せめてもの罪滅ぼしとして、今後、彼女たちがピッチで活躍する姿くらいはきちんと伝えてほしいものだ、と思う次第である。