定番のコメント

今年もまた、「夏の二回試験」(1年4ヶ月修習組メインの二回試験)の結果発表の季節がめぐってきた。

最高裁は23日、司法修習を終える185人の司法修習生を対象にした卒業試験(考試)で、24人が不合格になったと発表した。受験者数に占める不合格者の割合は13.0%で、昨年に引き続き過去最多となった。」(日本経済新聞2011年8月24日付け朝刊・第38面)

一応、現行64期修習生を対象とした考試、ということになっているが、別の記事*1によると、185人のうち初受験は102人(55.1%)に過ぎず、残りの83人は、昨年末に修習が終わっていたはずの再受験組(もしかしたらその前から受けている人もいるのかもしれないけど・・・)。そして、不合格者24人のうちの14人は再受験組から出ているから、不合格率過去最多の汚名を現行64期にだけ着せるのは適切ではない*2

とはいえ、厳しい関門をくぐり抜けて研修所入所の切符を掴み取ったはずの旧試組でさえ、わずか100人ちょっとの同期から2ケタの不合格者が出てしまう、というのは、やっぱり尋常な話ではないだろう。

最高裁のコメントは、相変わらず、

「法曹として求められる資質・能力を有しているかを確認した結果」

という、味も素っ気もない、説明する責任を負っているという自覚もまるで感じさせない“定番の”コメントにとどまっている*3のだが、2年続けて、二回試験をかつての旧試験の口述試験よりも高い不合格率の試験にしてしまったこと(そして、そのことが修習の現場、特に実務修習の現場に、とてつもない弊害をもたらしていること)について、何らかの言及があっても良かったのではないだろうか。

まぁ、もうなくなってしまう「夏の二回試験」のことなんて、当局にとってはどうでもいいのかもしれないけれど・・・。

*1:http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011082301000910.html

*2:そもそも、ある程度まとまった人数の受験者に「法曹資格を与えない」ことが、半ばミッションのようになってしまっている最近の当局の仕事のやり方に鑑みると、不合格「率」の数字を取り上げることにどれほどの意味があるのか(受験者数が少なくなれば率が上がるのは当たり前じゃないか)、という突っ込みも当然考えられるところだ。

*3:ちょうど1年前のエントリーと見比べて見たが(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100825/1282798576)、一言一句変わらず記事にされているのを見て、思わず失笑してしまった。

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