そして、扉は開かれた。

法科大学院に通えない人にも新司法試験の受験機会を確保する」という名目で今年から行われることになった「司法試験予備試験」。

「予備試験」といっても、実際には択一に始まって、論文試験あり、口述試験あり、とかつての旧試験の三段ステップをすべて網羅している上に、さらには旧司法試験一次試験にあった“教養”科目まで盛り込まれている、極めてハードな戦い。

それでいて、合格者への特典は、新司法試験を受験できる・・・というだけなのだから、傍から見ていると正直嫌がらせに近いものを感じるのだが、それでも、今年の第1回試験に果敢に挑み、そして勝ちぬいた勇者が生まれたことが、10日、法務省から発表された。

合格者116人。受験者6477人で合格率は1.8%。男性103人、女性13人。
平均年齢は31.6歳、最年長59歳、最年少20歳。

11月11日付けの日経紙には、このほかに、法務省が発表した受験者の属性情報(↓)が記載されている。
http://www.moj.go.jp/content/000080863.pdf

短答式合格発表の時点では258名いた「会社員」カテゴリーの方々が、論文で一気に12名に減ってしまった(その一方で、時間的余裕がありそうな大学生、法科大学院生の論文試験の合格率が高い)というのは、旧試験の時の状況とまさに同じで、

法科大学院に通えない人」

の救済という意味付けを持たせるのであれば、せめて法科大学院在学中の連中だけでも受験できないような策を講じれば良いのに・・・と思ったりもするのであるが、そこは「誰でも受けられる」旧試験の伝統を踏襲した、ということで大目に見るほかないのだろうか。

今回は1回目、ということで、旧試験末期に比べると比較的高めの*1合格率となっているが、試験の存在自体がより広く知れ渡るであろう来年以降は、学生、社会人、老若男女問わず、この門に殺到することは目に見えているわけで、「働きながら法曹を目指す」という道を再び拓くためには、受験資格その他について、今後いろいろと考えるべきところは多いような気がする。

ただ、いずれにしても、この116名、特に12名の「会社員」の方々、あるいは80名の「旧試験オンリー組」に、新司法試験への門戸が開かれた意味は大きいわけで、来春以降の戦いで大きな戦果を勝ち取っていただくことを、自分としてはただただ願うのみである。

なお、日経紙の記事にもあるとおり、

法科大学院修了者も336人が受験したが、合格者は5.7%の19人にとどまった。」(日本経済新聞2011年11月11日付け朝刊・第38面)

とのこと。

この合格率を記事のニュアンスのとおり「低い」とみるか、「高い」とみるかは人それぞれだろうが、“カムバック・ストーリー”が決して嫌いではない自分としては、一度夢破れても僅かな可能性に賭けた、彼/彼女たちの行く末にも、ちょっとだけ注目している。

*1:といっても通常の資格試験では考えられないレベルの狭き門であることに変わりはないが。

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