これぞ「山の神」の真骨頂

正月といえば箱根駅伝、ということで、今年も見ていたが、とにかく5区の柏原竜二選手の強さが目立った、そんな往路だった。

過去3年は、4区まで他大学の先行を許しながら、最後の柏原選手で逆転、というパターンだったのだが、今年の東洋大は、出だしからいつになく好調で、2区で設楽啓太選手が早大を逆転して以降は、完全に独走状態。

そして、5区に入ってからも、柏原選手がまったく危なげない走りで、最後は自らの区間新を大幅に塗り替え、2位以下にタオルを投げさせるに充分なくらいの大差を付けてのゴール。

アナウンサーがどんなにオーバーな実況をしたところで、“ハラハラドキドキ感”を演出するのは無理・・・という、制作サイド泣かせの展開ではあったが、チープな演出を吹き飛ばして、自らの存在だけで見る者にアピールするのが真のアスリートだ、というのは疑いのないところで、例年中継局の過剰演出に辟易していた身としては、何とも痛快なレースだった。

それにしても・・・


箱根という年に一度の大舞台に、コンディションをきっちり合わせてくるのがいかに大変か、ということは、高校時代の実績を引っ提げて鳴り物入りで入学し、“期待の新人”と一度は持ち上げられた選手が4年間活躍し続けたケースがほとんどない、ということを見ても明らかだろう*1

4年間出場し続けることだけでも大変なのに、1年生の時から4回出場して、全て区間賞、しかも、自分で往路優勝のゴールテープを切る・・・

故障を克服しての執念の走りで3年連続逆転を果たした昨年の時点で、もうほとんど伝説になりかけていた柏原選手だが、「トップで襷を受ける」という、今までにないペースを乱しても不思議はないシチュエーションでもなお、ストイックに区間新記録を叩き出した今年の走りで、完全に神の域に昇華した感がある。

これまでの「山(だけ)の神」とは違って、柏原選手の場合、持ちタイム的にも、トラックの大会での実績からしても、長距離選手として日の丸を付けて戦えるだけの力を持っているし*2、それゆえ、平地の2区や8区あたりでぶっちぎるシーンなども見てみたかったところではあるのだけれど、それは実業団に行ってからのお楽しみ・・・。

なお、この展開だと、明日の復路での総合優勝争いも早々と決着が付いてしまう可能性が高い*3

ほとんどのチームが繰り上げスタートになり、団子状態で競り合うことが予想されるシード権争いには興味深いものもあるが、走行順と実際のタイムが一致しないので、視聴者には分かりにくく、制作サイドとしてはまた頭を抱えることになってしまうことだろう。

万策尽きて、延々と大ブレーキになった選手の映像を延々と映し続けるような愚かな真似は、なるべくしてほしくないところではあるのだけれど・・・。

*1:それがもっとも顕著なのは、最近の早大か・・・。この大学の場合、そもそも、当日のコンディション以前に、タイム自体が1年生の時からほとんど伸びていない選手が多いので、入部後のモチベーションの保たせ方に問題があるのかもしれないが(今年の4年生で言えば、三田選手とか八木選手とか・・・)。

*2:もっとも、トラックで華々しい活躍を残したのは2年生の時までで、3年生以降、故障等で伸び悩んでいるように見えるのは、気がかりなところであるが・・・。

*3:まだ28分台の選手を2人も温存している東洋大と互角に張り合おうと思ったら、2位の早大でも、控えに回っている28分台トリオを全員起用できるくらいでないと厳しいし、3位の明大でも鎧坂選手が出場できないことには始まらない。面白いのは、4位の駒澤大だけど、ちょっと離され過ぎているような気がする・・・。

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