14日にチームスローガンとして、
「DAKKAN 奪還×脱甘」
を発表したジェフユナイテッド千葉。
クラブのHP*1には、
「今シーズンのスローガンはDAKKAN(だっかん)です。J1になぜ昇格できなかったのか、そしてJ1に昇格できないことで私たちが失ったものは何か、という問いの答えです。J2も3年目を迎え、私たちは多くのものを失いました。ファン・サポーターからの信頼、魅力あるクラブ、地域の皆さまの関心など。「奪還」は、ジェフを愛する全ての方からの信用と信頼を取り戻し、そしてJ1のステージを奪い取ろうという決意の現れです。そして「脱甘」は、“J2のステージはそんなに簡単なものではない”と臨んだ昨シーズンでしたが、その認識にはまだどこかに甘さが残っていました。この甘さから抜け出し、何事においても妥協せずに実践していかなければJ1は掴み取れない。自分たちで作っている壁を逃げずに乗り越えていかなければJ1のステージに再び立つことはできない、という決意の現れです。」(強調筆者)
という真摯な反省のメッセージが綴られている。
夏場まで安定した成績を残しながらも、中盤以降、一気に勢いのある辺境のチーム達の波に呑まれ、昇格の可能性を僅かに残していた残り数カ月の間にも、惨めな姿をさらし続けたこの名門チーム。
期待しては裏切られ、また期待しては裏切られ・・・・
オシムが率いていた頃の幸福な数年間を除き、そんなことを繰り返しながら、気が付けばサポーター歴もかれこれ20年近くになってしまっているだけに(前身の古河電工時代を入れれば、優に四半世紀なのだが・・・)、俄かには信じがたいチームスローガンではあるのだけれど、それでも開幕を迎えることに季節になると、騙されたくなってしまう・・・というのがコテコテのファン心理。
幸いなことに、これだけ酷い足踏みを繰り返しても、チームの求心力は辛うじて保てているようで、昨シーズン、チームの核となった選手たちの多くが現時点では残留している*2。
岡本、櫛野の両GKに、魂込めて戦う坂本&佐藤勇人のベテラン勢、そして、深井&オーロイ、という凸凹2トップが残ったのはチーム力を維持する、という観点からは極めて大きいし、昨年大いに伸びた米倉、久保といった将来性のある選手たちの存在は、微かに未来を感じさせてくれる。
そして、さらに嬉しいのが、2000年のシーズン終了後移籍して、長らくガンバ大阪で主力を張っていた山口智選手が、実に12シーズンぶりに帰ってきてくれたこと。ユースからの生え抜き選手として10代の頃から活躍し、後の黄金期の礎を作ってくれた功労者だけに、もう一度同じユニフォームを着る決断をしてくれたことには、心から感謝しなければなるまい。
他にも、縁あって新たに移籍してきた選手たちの中には、地元・八千代高出身でエスパルスでは主力を張っていた兵働選手や、かつてJ2でゴールハンターとして鳴らした荒田(水戸)、田中佑(福岡)、藤田祥史(鳥栖)といった強力FW陣もいる*3。
もちろん、その裏では、茶野、村井、林丈統、といった、せっかく戻ってきてくれたのに・・・という往年の名選手が契約満了で放出されてしまった*4、という寂しい話もあるし、オーロイ以外の外国人が皆帰国してしまったり*5、藤田俊哉選手会長が契約満了でひっそりと退団、ということになっていたり・・・といった話もあるのだけれど、そんなに悠長なことを言ってもいられないチーム事情を考えれば、やむを得ぬことというほかない。
攻撃的なスタイルを掲げ、“あのホーリーホック”で旋風を巻き起こしかけた木山隆之新監督が着任した、ということで、今季はそうそう退屈なサッカーを見ることはないだろう、と思う。
後は、「打ち合って豪快に負ける」のではなく、いかに勝利を積み重ねるか。
昨季のメンバーが息のあったコンビネーションを見せてくれそうなDFラインに、山口智選手がきっちりとフィットすれば、守りの方も安泰で、後は一気にパワーアップしたFW陣が・・・という期待も膨らむだけに、これからの数カ月のチーム作りをしっかりと見守りたい、と思うところである。
*1:http://www.so-net.ne.jp/JEFUNITED/tools/cgi-bin/view_news.cgi?action=view&nid=7468
*2:まぁ、契約期間の関係もあるのだろうけど。
*3:( )内は、必ずしも前所属先ではなく、かつて点取り屋として輝いていた時の在籍チームである。後述のとおり、木山隆之氏が新監督に就任したことを考えると、この中では荒田選手の出番が一番多くなりそう・・・。
*4:青木孝太選手もなかなか豪快には花開かないまま、ヴァンフォーレにレンタル移籍されることになった。
*5:この辺は、ドワイト監督が解任された時点で、やむを得ないというほかないんだろうけど。