実らなかった抵抗。

例の「過払い返還ブーム」の前に、廃業を余儀なくされた貸金業者「ユニワード」の国家賠償請求訴訟で、第1審の判決が下されたようだ。

「過払い金の返還を余儀なくされたのは旧大蔵省などの行政当局が適切な対応を怠ったためだとして、廃業した貸金業者「ユニワード」(盛岡市)が国に約2億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(渡部勇次裁判長)は10日、請求を棄却した。」(日本経済新聞2012年2月11日付け朝刊・第38面)

この訴訟提起が話題となったのは、2010年5月のこと。

その際のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100508/1273374023)にも書いたとおり、そもそもこの問題は、国の規制監督の下で積み上げられていた貸金業法の解釈運用ルールを、最高裁が度重なる判決でぶち壊してしまった、というところに発端があるのであって、後になってから、

「旧大蔵省が無効な規定を制定したことや、その後改正しなかったことが違法だ」

といったところで、訴えられた国の方も困ってしまうだろう・・・と思うところ。

判決は、「制定時は無効と解釈すべきだったとはいえない」という理由で請求を棄却したようであるが、仮に、「制定時から無効」という判断が下されたとしても、それにより貸金業者の側に生じた損害がどれだけあるのか・・・?ということになると、より難しい問題が出てきてしまうような気がする*1

まぁ、法律構成の巧拙はともかく、指導に従ってやってきたのに何で・・・という業者側の気持ちは痛いほど分かるし、最高裁が安易な正義感(?)によってしでかした“貸金業破壊”のハレーションは、(過払いバブルの悪弊と合わせて)じわじわと世の中をむしばんでいるように思えるだけに、真の「利益衡量」の観点から、業者側に花を持たせるような結末があっても良いのでは・・・?と思うところではあるが、果たしてこの先どうなるか。

願わくば、最高裁まで争う気概を見せて欲しいものだと、個人的には思っている。

*1:もっとも、最高裁判決が無効とした「受取書面」を、“有効と判断されるレベル“にまで詳細に作り込むことに、そんなに大きなコストがかからなかった、ということが言えるのであれば、一応業者側の「損害」も観念できるのかもしれないが。

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