今日は、昨年以来、使われ続けてもはやボロボロの状態になっていた中山競馬場が、ようやく暫しの休みに入れる日。
そして締めくくりのレースとなったのが牡馬クラシック1冠目の皐月賞、である。
1年前、震災とその後の停電パニックで、中山での開催が叶わなかったことを考えれば、どんなに馬場が悪くても伝統に則って中山競馬場で出来るだけマシ・・・と言いたいところだが、ここまで馬場が荒れてしまうと、純粋な馬の強さがレース結果に反映されないのでは・・・?という疑問も出てくるわけで、結果的にも、自分が本命に推したグランデッツァは5着が精一杯、という惨状の中、なおさら、そんな印象を強くした。
言い訳をするなら、前の日から、当日の昼まで、本命をグランデッツァにするかゴールドシップにするか、でずっと迷っていた。
直接対決では1勝1敗の五分だが、逃げるディーププリランテ(当時無敗、圧倒的1番人気)を完膚無きまでに叩きのめした共同通信杯での勝ちっぷりと、昨年の三冠馬と全く同じ配合(ステイゴールド×メジロマックイーン)、という血のドラマから、ゴールドシップを選択する余地も十分にあった。
それでも、最終的にグランデッツァと心中しようと決めたのは、前走、中山の不良馬場を経験し、しかもそこで一番の切れ味を見せた、という臨戦過程*1と、名手ミルコ・デムーロ騎手が騎乗するから、だったのだが・・・。
標準的なペースのように見えて、馬場コンディションを考えればべらぼうに飛ばしている、という不思議な状況の中、最終コーナーを回り切って、全馬が直線に向いたときの不思議な光景、といったら・・・
まるで、時間が止まった中を1頭だけが駆け抜けていく、そんな錯覚に陥ってしまいそうな直線での絶妙なコース取り。
グランデッツァはじめ、馬場の良い外側を狙って走った有力馬たちが、コースロスとごちゃつきの影響で後方でもがいている間に、芦毛の馬体を光らせて1頭だけ、インコース寄りのルート(だが馬場は極がに悪くなっていない部分を通るルート)を突き抜けていく・・・。
その瞬間を導いた内田博幸騎手の騎乗は、素人目にもはっきり分かるほど素晴らしいものだった*2。
今回の勝利を受けて、北海道ではステイゴールドの種付料が、また一段と上がることになるのだろう。
だが、今日の勝利に関して言えば、まさにジョッキーの腕に拠るところが限りなく大きかった、ということを忘れてはならないように思う。
もちろん、皐月賞を走る前からV最有力候補、と言われていたダービーのコースであれば、ジョッキーの腕を借りるまでもなく、自らの遺伝子の強さを示すことができるのかもしれないけれど、次の大レースが来る前には、馬柱を見ながらもう一度予想を考えてみるプロセスが必要ではないかな・・・と思うところ。
なお、マイルより長い距離のG1では絶対来ない、と自分の中では決めてかかっていたディープインパクト産駒だったが、さすがに去年よりは遥かに骨のあるメンバーがは揃っていたようで、ワールドエースがさすがの2着*3、プリランテも粘って3着。
巻き返しを図るグランデッツァと、今回の上位2頭が“三つ巴”となる構図*4が今から何となく透けて見える次のダービーを、ゴールドシップが再び制して初めて、「奇跡の配合」が公の伝説にまで昇華することになるのではないかな・・・と思う次第である。