進化し続ける無敵艦隊。

この何週かの間に、粛々と行われてきたサッカーの欧州選手権

現実世界では、伝統を誇る大国が次々と通過危機に巻き込まれている・・・という悲惨な状況にあるヨーロッパ大陸だが、フィールドに場を移せば、依然として“伝統”は健在。

グループリーグでは往年のファンをハラハラさせたイタリアが、PK合戦でのお洒落チップキック(ピルロにしかできない芸当・・・)で、勢いに乗りかけていたイングランドを葬り去り、バロテッリの2発で、経済でもサッカーでも欧州の頂点を極めようとしたドイツを一敗地にまみれさせた*1かと思えば、反対側の山では無敵艦隊スペインが順当に勝ち上がってくる・・・。

そして、最強ゼロトップ体制を維持するのか、それとも4年前のヒーロー、フェルナンド・トーレスの力を信じるのか、という迷いを見せながらも、何だかんだと優勝候補のチームを次々と軍門に収めてきたスペインが、真価を発揮したのが、まさに決勝の試合だったように思う。

残念ながら、自分はLIVEでは見られず、しかも月曜の昼には運悪く勝ち負けだけ知ってしまい・・・という状況だったのだが、夜、実際に録画していたのを見たら、想像していた以上の華麗過ぎる試合だった。

決勝まで来たとはいえ、イタリアの守備陣に往年の力強さがなかったのは事実。

FCバルセロナ&スペインが、この何年かの間ずっと世界を凌駕し続けた影響か、今大会はお約束の一部チーム(ギリシャとかアイルランドとか・・・)を除いて、スマートにパスでボールをつないでいくサッカーが目立ち、イタリアもその例外ではなかったのだが、反面、中盤からガンガン体張ってボールに食らいついていく嫌らしさがどこかに消えてしまっていた(むしろ、中盤が献身的に動き、テクニックを駆使してボールを奪うスペインのディフェンスの方が遥かに高い安定感と力強さを有していた)。

しかも、イングランド、ドイツを激戦の末退けてきたツケが出たのか、早い時間帯から負傷者発生による選手交代を余儀なくされ、しかも満を持して3人目として投入したモッタが、自分の存在をほとんどアピールする間もなく、深刻な負傷によりピッチの外へ・・・という状況では、まともに張り合うのもちょっと無理があったというほかない。

だが、その辺を差し引いても、きめ細かいパスで、ボールを失うことなく相手陣ままで攻めあがり、いつのまにか名手ブッフォンと相手DF陣をサンドバッグ状態にする・・・というスペインの攻撃が、実に素晴らしい出来だったのは間違いない。

また、前半のゼロトップ体制で苦労しながらも2点リードし、さらに後半に入るとFW勢を投入して、通常の陣形に戻ったところで、さらに2点追加する、という願ったりかなったりの試合運びもみせた。

おそらく、イタリアが万全のメンバーで臨んでいても、結果をひっくり返すのは難しかったことだろう。


4年間欧州のトップに君臨し続け、2年前からは世界一、との称号も得てしまったスペイン無敵艦隊

いつか栄華は去り、新しい時代のヒーロー達を迎える日(そして追い越される日)が必ず来るとしても、そんなことは忘れて、永遠の輝きを信じていたい・・・

そんなふうに思わせてくれた今回の決勝戦に、自分は心から感謝しているところである。

*1:これでイタリアがユーロ圏からの離脱を余儀なくされるようなことがあったら、間違いなくあの仁王立ち男のせい・・・というほかない。国民が空気を読まないギリシャですら、フィールドでは空気を読んだ(笑)のに。

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