青の躍動。

U-23日本代表チームのロンドンでの躍動が続いている。

初戦、セットプレーで奪った1点を守り切り、優勝候補スペインを葬り去ったかと思えば、第2戦では、アフリカの試合巧者、モロッコ相手に堂々と渡り合い、終盤攻め続けて最後は永井選手の神業ゴール。

反撃を受けてあわやの場面もあったものの、再び1‐0のスコアで、見事3大会ぶりのベスト8進出を決めた。

「ベスト8進出」といえば、当然のことながらシドニーの時の記憶が未だに脳裏をよぎるわけだが、あの時は、中田英寿選手を筆頭に、育成世代から世界の舞台で実績を残し*1、名実ともに日本サッカー界を背負っていた選手達がメンバーに揃っていたチーム。

一方、今のU-23世代といえば、U-17ではW杯こそ出場したもののグループリーグで早々と敗退。U-20の時に至っては、長年守ってきたアジア代表の座すら、2大会続けて明け渡してしまった、という“前科持ち”。

Jリーグ各クラブの育成の成果もあってか、技術的なレベルは決して低くないように思える世代なのに、リーグの顔として華々しく活躍しているような選手はほとんどおらず*2、しかも、国際大会では肝心なところでは結果を残せない・・・それゆえ日本代表の先行きにすら不安を抱かせる“真の谷間世代”なのでは?*3という評価すら付きまとっていた。

それがどうだ。

ロンドンの地に立つや否や、堂々とした試合ぶりで観客をひきつけ、懐疑的なムードを早くも一掃しつつある。

一見地味なDF系の選手を積極的に補充したオーバーエイジ枠の選手選考等、スタッフが中心となったチーム作りが功を奏している*4、という面もあるだろうし、智将・関塚監督の手堅い采配が良い結果をもたらしている、という評価もあるだろう。

だが、それ以上に、フィールド上の選手たちの動きから“チーム”としてのまとまりを感じるのが、今回のU-23代表である。

傑出した「個の力」が試合を作っていたのがシドニー五輪の代表チームだったとすれば*5、今回の代表チームは、傑出した存在の選手こそ見当たらないものの、平均点以上の力を持つ選手達が、細かいコンビネーションプレーや、一糸乱れぬ前線からのプレス等、チームとしての決めごとに従って、着実に試合の流れを掴んでいる・・・ということになろうか。

歳月とともに、サッカーの世界における戦術そのものが進化していることもあり、12年前と比べて、チームのベースは明らかにモダンになったように見える一方で、個々の選手の献身的な動きは、より際立っているように思われる。

“顔”が目立たない分、見ている側で、個よりも“チーム”としての働きの方に、どうしても目が行ってしまう、ということもあるのかもしれないが、“特別な存在感”とは縁の薄い立ち位置で、自然体で地道にサッカーと向き合ってきた選手たちだからこそ、一体となったチームに溶け込んで、それぞれのパフォーマンスを達成できているのでは・・・? という見方もありうるところ。

おそらく、予選リーグで2勝したくらいの実績では、まだまだ“特別な存在”にはなりえないだろうし、少なくとも“なでしこ”が勝ち進んでいる間は、U-23チームの一挙一頭足が注目を浴びる機会も少ないだろうが、大会が終わった時に、彼らがどういう存在になり得ているのか・・・。

今のU-23代表が、ベスト8に行っただけで終わってしまうような、そこで満足してしまうようなチームではない、と、自分は信じている。

*1:何と言っても五輪2年前のワールドユースで準優勝、という快挙も成し遂げていた。

*2:既に海外に移籍している選手も多いが、いきなり先発出場が保証されるような立場で海を渡った者は極めて少ない。

*3:元々“谷間世代”と言われていたのは、アテネ五輪U-23世代だったわけだが、その時も、一応ワールドユースには出場して、1勝は挙げている。

*4:初戦の鉄壁の守備を見れば明らかなように、吉田選手、徳永選手の“補強”がチームに実に良い影響をもたらしている。

*5:何しろ戦術があのエキセントリックな「フラット3」くらいしかなかったから(笑)。