いつまでも「黄金」のままで。

事前告知CMのインパクトがかなり強烈だった割には、出走馬の顔ぶれが何となく寂しかった第73回菊花賞

ダービー馬のディーププリランテが直前の故障で回避*1セントライト記念で貫録を見せ、菊に出ていれば秋華賞同様の“ライバルとの一騎打ち”を見せてくれる可能性も大だったダービー2着・フェノーメノ秋の天皇賞に直行*2
そして、秋になれば、という期待が強かった3着・トーセンホマレボシ、4着・ワールドエースはともに屈腱炎で、ホマレボシに至っては早々と引退、種牡馬入り。

こうなると、後はその次の順番の馬(かつ皐月賞馬)、ということで、一等賞をだれが取るか、という関心はおのずから薄れてしまう。

実際、レースが始まってからも、大本命のゴールドシップ内田博幸騎手が、この舞台での必勝パターンといえる向こう正面からの捲りを見せ*3、直線に差し掛かった瞬間にはするすると先頭に並びかけて、楽勝を確信できる展開に。

同じく捲り攻撃をかましたスカイディグニティ(メンディザバル騎手)が思いのほか食い下がったこともあって、ぶっちぎることこそ出来なかったものの(0.3秒差)、余力を残しての勝利で堂々の2冠目となった。

前年の「三冠馬」の印象が(いろんな意味で)あまりに強烈だっただけに、勝っても何となく地味な印象は拭えないのだが、今、この国で最強の血統ともいえる「ステイゴールド×メジロマックイーン」の配合を受け継ぐ一頭で、戦績的にも(5着に終わったダービーを除けば)実にコンスタントに結果を残している馬だけに、引き続きの快進撃も期待できるだろう。

自分の夢は、来年の凱旋門賞に、この馬がオルフェと2頭で出走して、堂々のワン・ツーを飾る、ということ(笑)。

オルフェも、今季のフランス遠征で燃え尽きた可能性は拭えないし、ゴールドシップの所属厩舎が池江厩舎ほどには海外遠征に慣れていない(?)、ということを考えれば、あまりに無謀な妄想、ということになってしまうのかもしれないが、JCでも有馬記念でも良いから、どこかでこの2頭が共演して、“ステイゴールド最強”を証明するような美しいフィニッシュを見せてほしいなぁ、と願うところである。

なお、個人的には、トーセンダンス産駒のユウキソルジャーが3着に食い込んだことが強く印象に残ったレースでもあった*4

神戸新聞杯で自分より上位にいた人気馬2頭をはるかにしのぐ勢いで、ゴールドシップとの差も本番で縮めた。
Northern Dancerの血が濃く散りばめられた血統(4×5×5)を持つ馬だけに、今後の底力にも何となく期待できそうに思われるところで、順調に成長を遂げれば、長距離で一発もありうるのではないかと思う。

真価を示すのが、春の天皇賞なのか、それともステイヤーズSになるのかはわからないが、もう少し見守ってみたい一頭である。

*1:出走しても人気を背負って負ける可能性が高い一頭だっただけに、この馬の回避が決まった時点で、馬券的な妙味はなくなってしまった。

*2:結果論だが、今回のレースで2位に入ったのがスカイディグニティで、勝ち馬との差がわずか0.3秒だったことを考えると、フェノーメノがこちらに回れば最高の名勝負になったような気がする。

*3:出だしから最後方でレースを進めていた時はどうなることかと思ったが、団子状態の先頭争いのレベルを見切って、一気に自ら流れを作った手綱さばきは、「さすが」の一言に尽きる。

*4:トーセンダンスは父はサンデーサイレンス、母父はダンシングキイ。90年代の競馬界を沸かせた“ダンス”ブランドを受け継ぐ馬で、それゆえ、未勝利戦に僅か1回出走(しかも惨敗)した馬ながら、種牡馬として生き長らえることになった。

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