大谷翔平投手の決断。

日本シリーズも始まらないうちから・・・というここ数年の日程にはずいぶん違和感があって、それゆえ、最近は結果を見て“ふむふむ”というだけのことが多かったドラフト会議だが、今年は、勇気ある高校生の登場で、俄然として興味が湧いてきた。

「日米どちらの進路を選ぶか注目されていた高校球界屈指の右腕、岩手・花巻東大谷翔平投手が21日、花巻市内の同校で記者会見を行い「最初から夢があった。若いうちに行きたい気持ちが強かった」と米大リーグ挑戦を表明した。」(日本経済新聞2012年10月22日付朝刊・第33面)

大谷投手が生まれたのは1994年(!)で、その翌年には既に野茂英雄投手が、アメリカ西海岸で大旋風を巻き起こしている。
さらに言えば、物心ついた頃に、イチロー選手が渡米して大活躍・・・という世代だから、「最初から夢があった」という話が出てきても、決して不思議ではない。

そのまま行けば、ドラフト1位で複数球団が競合することが確実な逸材だから*1、あえて「MLB志望」を宣言するのは、相当勇気がいることだったと思うのだが、それでもなお、堂々と胸を張ってこれからの道を歩んでいこうとする姿には、すごく好感が持てる。

ちなみに、花巻東出身の選手、といえば、2009年の「甲子園の星」だった菊池雄星投手が、同じようにメジャー志望を示唆しながら、ドラフト会議直前に涙をのんだ、というエピソードが記憶に新しいところだが、甲子園であれだけの活躍を見せた選手が、日本プロ球界に入ってからの3年間で悪戦苦闘している*2ことも、大谷投手と彼を取り巻く関係者に、「MLB志望」を宣言する道を選ばせたのかもしれない。

また、2008年のドラフトで日本球団拒否を堂々と宣言して、激しいバッシングの中、海を渡った田澤純一投手が、今年になってかなり本格化しつつあることも、追い風、といえるだろう。


まぁ、いくら事前に宣言したところで、指名を強行してくる国内球団は存在するだろうし、そういうことになった場合、大谷投手の「決断」が覆される可能性も否定できないのだけれど、まだまだ伸びしろが大きそうな逸材だけに、どうせ宣言したのであれば、日本中をプロ野球関係者を敵に回しても初志貫徹してほしいなぁ・・・と思うところである。

*1:春の甲子園では、投げ合った藤浪投手に比べて、かなり粗さが目立っていたし、夏の甲子園では、本大会への出場すらかなわなかったが、その分消耗度が少ない、といえるだろうし、AAA世界選手権での投打にわたる活躍は、彼の“本物”感をより一層引き立たせた。

*2:しかも、1年目はコーチとの衝突(?)が噂され、「故障」を理由に二軍戦でも登板できない、という不遇をかこっていた。仮に海を渡っていたとしても、環境不適応リスクや故障リスクは同じくらい存在しただろうし、独特の育成システムの下、しばらく日本で彼が投げるシーンを見ることはできなかったかもしれないけれど、それでも、もう少しいい環境で野球に打ち込めたのではないか、と思えてならない。