3歳牝馬で堂々の三冠を飾ったジェンティルドンナが、果敢にもジャパンカップに挑む、ということで、遂に悲願の初Ｇ１タイトル獲得か！と注目されていたヴィルシーナ。
舞台は古馬混合のエリザベス女王杯、とはいえ、昨年まで二連覇を飾っていた“強すぎる外国馬”（スノーフェアリー）は出走せず、古馬陣を見回してもブエナビスタが去った後に主役を張れるような馬は全くの不在*1、とくれば、もう、この馬しかいないだろう、というのが、大方の予想であった。
当然ながら単勝人気は断トツの1番手。
「11月11日」と「1」がたくさん並んだ縁起の良い日に、トライアルレースを含め四度も三冠馬の“露払い”を演じさせられた悔しさを晴らすべく、内田博幸騎手の手綱で*2、堂々の優勝を飾る・・・はずだった。
だが、雨の降る京都の馬場で、今は見かけることも少なくなったブライアンズタイムの直仔*3、レインボーダリアが、外側から一気に進出し、必死で二の脚を使おうとするヴィルシーナをあざ笑うかのように、堂々のビッグレース初優勝。
ヴィルシーナにしても、初の古馬混合戦で2着、しかも同タイム首差、というのだから、本来であれば誇ってよい結果のはずなのだが、たぶん京都の競馬場にいたら、ゴール後の場内からは、ため息しか聞こえなかったのでは・・・と思ってしまうような、悔しく、そして悲しい敗戦。悲願の達成はまたしても、先送りにされることになった。
ちなみに、“シルバーメダリスト”といえば、ステイゴールドの名前などが頭に浮かぶが、実際に戦績を見てみると、そんなに続けて２着をとっていたわけではない。
また、自分の思い出の一頭であるカミノクレッセも、確かに天皇賞(春）、安田記念、宝塚記念、という驚くべき3連続2着、という記録を残しているものの、そこまでである*4。
そもそも、三冠レースのすべてで2着、というのが、1950年代の「カツラシユウホウ」という馬（牡馬クラシック全て2着）まで遡らないといけないようなので、それに加えて次のＧ１でも2着、ということになると、おそらく前代未聞の珍事、というか快挙だろう。
“だから喜べ”って言ったところで、関係者の神経を逆なでするだけだろうから、ほどほどにしておくが、もし、次で有馬記念あたりに参戦して、「オルフェーヴルの2着」などという結果になれば、ギネスブックも見えてくる（笑）。
まぁ、ディープインパクトの血を引く、良血の牝馬だけに、競走馬としての寿命は決して長くはならないだろうし、それだけに残された時間は少ないのだが、元々は“マイラーでは？”と囁かれたような血統（母の父がマキャベリアンだから、短距離レースの方がむしろ馴染みがある）だけに、来年のヴィクトリアマイル→安田記念あたりで、堂々の優勝を飾って、繁殖実績でジェンティル超えを目指す、なんて方が、格好いいんじゃないかなぁ・・・と思ったりもしているところである。
なお、最初、このエントリーは、「これだけ2着が多いのは、オーナー（元横浜‐マリナーズ投手の佐々木主浩氏）の背番号が「2」並びだったせいではないか？」というネタでまとめようとしたのであるが、既にオーナー自身がレース前に言及していたようなので、それを引用しておけばいいか・・・と（http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/horse/headlines/20121108-00000023-dal-horse.html参照）*5。
気持ちは分かるが、言霊、っていうのもあるからなぁ・・・と何となく思わされた記事であった。
*1:春先まではホエールキャプチャあたりが後継者と目されていたが、ヴィクトリアマイルを制した後は、精彩を欠き、前走も２ケタ着順にとどまっていた。元オークス馬のエリンコートに至っては、良化の兆しすら感じさせない。
*2:内田騎手は桜花賞で初騎乗。以降、あえて説明するまでもなくＧ１・3戦、Ｇ２・1戦ですべて2着を記録している。
*3:ブライアンズタイム産駒の“泥んこ大好き”ぶりも、コアなファンには説明不要だろう。直系であればもちろん、母父にでも名前が入っていれば、雨の日は迷わず買いである。
*4:正確に言うと、天皇賞の前哨戦である阪神大賞典から4走連続2着、という結果になっているが、宝塚記念の次のレースでは結果を残せていない。
*5:ちなみに、佐々木投手はマリナーズ移籍時も、5年ぶりに復帰した際も背番号「22」は譲っていない。記事によると、「ラッキーナンバーなのでこだわり」があったとのことである（http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/04season/team/baystars/column/200402/0203sn_01.html）。
