これといった傑出馬がなく、1番人気のグランプリボスでも単勝オッズ4.0倍、という混戦模様だったマイルチャンピオンシップだが、ゴール前混戦の中、スルスルと抜け出した武豊騎手騎乗のサダムパテックの勝利、という結果で幕を閉じた。
4番人気にまで持ち上げられていた、とはいえ、これまでG1レースでの優勝はなく、今季の勝ち鞍も京王杯スプリングカップだけ、というこの馬がトップでゴールを駆け抜ける姿は自分には想像がつかなかった。
そして、前夜の競馬番組で、「鞍上が名手・武豊」&「武豊騎手が取り残している数少ないG1レースがこれ」という理由も入れながら、フジテレビの福原アナがこの馬を強く推していた時も、
「中継とはいえ、キャッチーな目玉がないと、番組にならないからね(笑)」
と、半ば冷ややかな目で眺めていた。
だが、今年酷使された上に、雨にまで降られて荒れた馬場に足を取られる馬も多い中、最内の見事なコース取り、さらに最後の直線でごちゃ付きながらも、何とかしのいで、後方からの猛追をクビ差交わす・・・*1・・・というサダムパテック勝利までの展開を見れば、さすが武豊騎手!と言わざるを得ない。
かつてリーディングジョッキー18回、デビュー以来猛烈な勢いで勝ち星を積み重ね、最速●●勝達成記録をも予定調和的に更新してきた武騎手(間もなく前人未到の3500勝に達しようとしている)だが、今や40歳代の半ばに差し掛かり、関西のリーディング争いから姿を消すようになって久しい(今年も18日のレースまで終了した時点で「53勝」という数字にとどまっている)。
ここ数年の不調の原因としては、様々な憶測が飛び交っているが、元々、「強い馬を人気通りに勝たせる」というのが、この騎手の持ち味だったことを考えると、
(1)負傷等で休養している間に、有力馬の手綱が関西の他の有力騎手や外国人騎手に移った。
(2)代わりに相対的に人気薄の馬の手綱を取ることが多くなったが、思うようにいかない。
(3)ますます有力馬が集まりにくくなる。
ということで、好位抜け出しで横綱相撲が取れるような馬が少なくなったため余計に実績が稼げない、という悪循環に陥っているようにも思えるわけで・・・。
そのような中、武豊騎手が2年ぶりにG1ジョッキーの地位を取り返したこと(しかも必ずしも高い人気だったわけでもないのに勝ち取ったこと)には、今後の武豊騎手の処遇を考える上でも大きな意味があると思うのだが、果たしてこれから年末にかけて、武騎手が勝ち鞍を上積みできるかどうか、が注目されるところだろう。
ベテランの域に差し掛かったとはいえ、また何かの機会に一花、二花咲かせることはできると思うだけに、今後の行方に注目してみることにしたい。